第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-55] 介護職員への起居移乗動作の介助講習会が及ぼす効果
健康関連QOLと腰痛に着目して

*南 裕貴1、岩淵 裕和1、岡原 隆之介1、長谷川 瑞樹1、小野 雅之2、大森 圭貢3 (1. 桜ヶ丘中央病院、2. 川崎市中部リハビリテーションセンター、3. 湘南医療大学)

Keywords:介助講習会、腰痛、介護職員

【はじめに・目的】
本邦の高齢者割合は上昇し続ける一方、介護人材は38万人近くが不足すると見込まれている。人材不足の要因に離職率が高いことが挙げられ、主な事由の一つに「心身の不調、腰痛等」がある。心身の不調は主観的健康感や仕事、社会活動に影響を及ぼし、健康関連Quality Of Life(以下QOL)低下させる。腰痛は、職業性疾病の6割を占め、そのうちの2割が社会福祉施設職員と報告されている。さらに腰痛の7割が、移乗作業時に発生したとされる。起居移乗動作の介助講習会を実施し、1週間後の介護職員の心身への影響を検討した。
【方法】
対象者は他事業所の特別養護老人ホーム16名、介護老人保健施設12名の計28名である。講習会に参加した職種は介護福祉士、ヘルパー、資格なし、その他である。時間は1時間半の起居移乗動作の介助講習会を2日間に分けて実施した。介助講習会では介助方法を記した小冊子を配布し、対象者が介助技術を学習し続ける機会を向上する配慮を行う。調査項目は基本的情報、健康関連QOL(EuroQol-5Dimenesion-5Levels;以下EQ-5D-5L)、腰痛評価(Roland-Morris Disability Questionnaire;以下RDQ)、及び講習会の満足度を調査する。基本的情報は介助講習会前、満足度は介助講習会後直後、健康関連QOLと腰痛評価の実施前と1週間後に実施する。
【結果】
計28名(男性9名、女性19名、年齢40.3歳±15)、職種別では介護福祉士11名、ヘルパー8名、資格なし6名、その他3名である。介助講習会前のEQ-5D-5Lは1が健康である事に対して1未満が46.4%のであった。その中で介護福祉士が61.5%と最も高く、更に年齢が高く、職歴が長い傾向があった。また、腰痛の有訴者は28.6%であり、職歴が長いと多く、女性は100%という結果となった。1週間後の結果はEQ-5D-5L 60.7%、RDQ75%で変化なしとなった。介助講習会に対する満足度の調査は満足度が高く、「このような機会が欲しい」や「今後活用していきたい」などの意見も多くみられた。
【結論】
理学療法士が介護職員に向けて起居移乗動作の介護講習会を行うことは重要であり、介護職員の腰痛の有訴者が多く、身体負担を軽減していく必要がある結果となった。健康関連QOLと腰痛評価において、1週間後の結果では変化なしが多かった理由として、単発での講習会では十分な結果が得られなかったと考える。そのため、介護講習会ならびに実際の移乗動作場面にて利用者を含めた実践的な講習会も設けることが必要であると考える。今後は、単発ではなく継続して関わる機会を設け、介助講習会の効果を検証していきたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
対象者にはヘルシンキ宣言に基づき、研究の趣旨・内容を充分に説明し、署名による同意を得た。また、本研究は湘南医療大学倫理員会の承認を受け実施した。