[P-57] 地域特性を踏まえた通いの場づくりにおける活動報告
キーワード:住民主体、通いの場、介護予防
【はじめに・目的】
地域包括ケアシステムにおける互助による介護予防として、住民主体の通いの場(以下、通いの場)づくりは重要である。当院が所在する東京都羽村市では、平成30年度より行政職員と当院リハビリテーション専門職(以下、リハ職)で協業し、羽村市の地域特性を踏まえた通いの場立ち上げ支援を行った。今回はその1年間にわたる取り組みを報告する。
【方法】
通いの場立ち上げに先立ち、会場提供が可能な複数の施設にて住民向け説明会を実施した。週1回、4名以上で集まることが可能なグループには「3ヶ月応援メニュー」として、冊子および体操DVDを提供した。「3ヶ月応援メニュー」は全12回とし、そのうち3回を行政職員とリハ職でフォローし、体操の指導や健康チェック、相談等を行った。「3ヶ月応援メニュー」終了後は各グループにて運営を継続して頂いた。住民に対する広報として、各会場に通える範囲の地域に対し、回覧板にて案内を行った。体操指導は、群馬県鬼石町の「高齢者の暮らしを広げる10の筋トレ」を使用し、DVDも同様のものを提供した。冊子には体操の内容や注意点、目標、健康チェック項目を記した。健康チェックではロコモ25を測定した。
【結果】
住民向け説明会を11会場にて計13回実施。説明会の参加延べ人数は162名、通いの場を立ち上げた自主グループは10組に上り、うち7グループが平成30年度内に3ヶ月応援メニューを終了した。終了した7グループの合計構成人数は124名、1グループの平均人数は18名(±11名)、各グループの平均参加率は66%であった。体力チェックを受けた68名のうち、ロコモ度1と判定された者は21名、ロコモ度2と判定された者は16名。3ヶ月応援メニュー終了時には8名がロコモ度1から改善し、7名はロコモ度が2から1へ改善した。7グループ全てが3ヶ月応援メニューが終了した後も活動を続けている。
【考察】
羽村市は自治会活動が盛んで自治会館の使用頻度が高かったことから、自治会館以外で使用可能な会場を探す必要があった。複数の社会福祉法人や保育園の地域交流スペース、寺院などから会場を提供して頂けたことが1年間で10組の自主グループを立ち上げることができた大きな要因であると考えられる。また、自治会活動とは別の枠組みで通いの場を立ち上げたことで、自治会に加入していない住民に対して間口を広げることができた。加えて、住民向け説明会のプレゼン資料や冊子の作成を含めた多くの準備を行政職員とリハ職が協業したことで、資料のブラッシュアップや説明会の内容変更等の対応がスムーズに行えた。体操の効果に関しては、要介護のリスクが高いと言われているロコモ度2の対象者に改善が認められたことからも運動を継続する意義は大きいと考えられる。今後は3ヶ月応援メニューが終了した後のグループへの支援方法の確立、活動の維持および新たな地域への布教活動が必要と考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、調査結果の取り扱いについて同意を得た。
地域包括ケアシステムにおける互助による介護予防として、住民主体の通いの場(以下、通いの場)づくりは重要である。当院が所在する東京都羽村市では、平成30年度より行政職員と当院リハビリテーション専門職(以下、リハ職)で協業し、羽村市の地域特性を踏まえた通いの場立ち上げ支援を行った。今回はその1年間にわたる取り組みを報告する。
【方法】
通いの場立ち上げに先立ち、会場提供が可能な複数の施設にて住民向け説明会を実施した。週1回、4名以上で集まることが可能なグループには「3ヶ月応援メニュー」として、冊子および体操DVDを提供した。「3ヶ月応援メニュー」は全12回とし、そのうち3回を行政職員とリハ職でフォローし、体操の指導や健康チェック、相談等を行った。「3ヶ月応援メニュー」終了後は各グループにて運営を継続して頂いた。住民に対する広報として、各会場に通える範囲の地域に対し、回覧板にて案内を行った。体操指導は、群馬県鬼石町の「高齢者の暮らしを広げる10の筋トレ」を使用し、DVDも同様のものを提供した。冊子には体操の内容や注意点、目標、健康チェック項目を記した。健康チェックではロコモ25を測定した。
【結果】
住民向け説明会を11会場にて計13回実施。説明会の参加延べ人数は162名、通いの場を立ち上げた自主グループは10組に上り、うち7グループが平成30年度内に3ヶ月応援メニューを終了した。終了した7グループの合計構成人数は124名、1グループの平均人数は18名(±11名)、各グループの平均参加率は66%であった。体力チェックを受けた68名のうち、ロコモ度1と判定された者は21名、ロコモ度2と判定された者は16名。3ヶ月応援メニュー終了時には8名がロコモ度1から改善し、7名はロコモ度が2から1へ改善した。7グループ全てが3ヶ月応援メニューが終了した後も活動を続けている。
【考察】
羽村市は自治会活動が盛んで自治会館の使用頻度が高かったことから、自治会館以外で使用可能な会場を探す必要があった。複数の社会福祉法人や保育園の地域交流スペース、寺院などから会場を提供して頂けたことが1年間で10組の自主グループを立ち上げることができた大きな要因であると考えられる。また、自治会活動とは別の枠組みで通いの場を立ち上げたことで、自治会に加入していない住民に対して間口を広げることができた。加えて、住民向け説明会のプレゼン資料や冊子の作成を含めた多くの準備を行政職員とリハ職が協業したことで、資料のブラッシュアップや説明会の内容変更等の対応がスムーズに行えた。体操の効果に関しては、要介護のリスクが高いと言われているロコモ度2の対象者に改善が認められたことからも運動を継続する意義は大きいと考えられる。今後は3ヶ月応援メニューが終了した後のグループへの支援方法の確立、活動の維持および新たな地域への布教活動が必要と考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、調査結果の取り扱いについて同意を得た。