[P-58] 世代間交流を基盤とした健康増進サークルの成果
地域在住高齢者と学生がもたらす相乗効果
キーワード:予防理学療法、世代間交流、健康増進
【はじめに・目的】
近年、地域住民が主体となった健康増進活動について多くの報告がなされており、地域住民の健康に寄与するためには継続した活動が必要とされている。我々は、2014年より地域在住高齢者の健康と地域に根差した教育の充実を目的とし、地域住民主体の健康増進サークルを支援している。本研究の目的は、理学療法学科に在籍している教員と学生が健康増進サークルにおいて予防理学療法を実践することは参加者の健康に寄与できるのか、さらに学生のコミュニケーション力や臨床力にはどのような効果を及ぼすのかを検証することである。
【方法】
我々の支援する健康増進サークルは、地域在住高齢者が発起人となり、地域住民に理学療法学科の教員と学生が加わることによって運営されている。サークルの内容は、健康の維持および増進を目的とした体操、レクリレーション、参加者と学生のディスカッション、などを中心として月に2回開催され、年に2回体力測定会を実施している。学生は体操の指導、レクリレーションの企画と実施、体力測定会での計測、などの役割を教員の指導の下に段階的に担っている。現在、サークルの在籍者数は高齢者が32名、学生の参加総数は5年間で35名であり毎年5~10名が参加している。今回は3年間継続的に参加している高齢者22名(74.8±5.1歳)について、予防理学療法の効果検証のため入会時と現在の身体機能(BMI、体脂肪率、握力、片脚立位時間、骨密度)を比較することとした。また高齢者および学生に5件法と自由記述によるアンケート調査を行い、サークルに対する感想や参加することによる心身の変化などについて聴取した。
【結果】
身体機能について(入会時/現在)は、それぞれ平均BMI:21.2/19.3、体脂肪率(%):26.6/26.7、握力(kg):26.8/27.5、片脚立位時間(秒):74.5/88.1、骨密度(%):72.1/78.8となり、骨密度でのみ有意差が認められた。次に参加者のアンケート結果について、サークルに参加して「とても良い」が74%、「良い」が22%、「どちらでもない」が4%であった。「専門的な運動の指導が受けられることで体調がよくなった。」との意見や、「学生との会話が新鮮で元気をもらえる。」などの肯定的な意見が多かった。また学生のアンケート結果について、全員がサークルに参加して「とても良い」と回答し、「高齢者とのコミュニケーションに自信がついた。」「臨床実習でサークルでの実践経験が役に立った。」との意見があった。
【結論】
この活動を支援することで、世代間交流が地域の活性化につながる期待感が強まった。予防理学療法を実践することで、地域在住高齢者の健康維持・増進に寄与できているだけではなく、医療人を志す学生にとっても、同世代との間では経験することが出来ない貴重なコミュニケーションの体験の場となり、準医療人としての自覚と臨床力を高めたものと考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は中部大学倫理審査委員会の承認を得たうえで、ヘルシンキ宣言に則って実施した。
近年、地域住民が主体となった健康増進活動について多くの報告がなされており、地域住民の健康に寄与するためには継続した活動が必要とされている。我々は、2014年より地域在住高齢者の健康と地域に根差した教育の充実を目的とし、地域住民主体の健康増進サークルを支援している。本研究の目的は、理学療法学科に在籍している教員と学生が健康増進サークルにおいて予防理学療法を実践することは参加者の健康に寄与できるのか、さらに学生のコミュニケーション力や臨床力にはどのような効果を及ぼすのかを検証することである。
【方法】
我々の支援する健康増進サークルは、地域在住高齢者が発起人となり、地域住民に理学療法学科の教員と学生が加わることによって運営されている。サークルの内容は、健康の維持および増進を目的とした体操、レクリレーション、参加者と学生のディスカッション、などを中心として月に2回開催され、年に2回体力測定会を実施している。学生は体操の指導、レクリレーションの企画と実施、体力測定会での計測、などの役割を教員の指導の下に段階的に担っている。現在、サークルの在籍者数は高齢者が32名、学生の参加総数は5年間で35名であり毎年5~10名が参加している。今回は3年間継続的に参加している高齢者22名(74.8±5.1歳)について、予防理学療法の効果検証のため入会時と現在の身体機能(BMI、体脂肪率、握力、片脚立位時間、骨密度)を比較することとした。また高齢者および学生に5件法と自由記述によるアンケート調査を行い、サークルに対する感想や参加することによる心身の変化などについて聴取した。
【結果】
身体機能について(入会時/現在)は、それぞれ平均BMI:21.2/19.3、体脂肪率(%):26.6/26.7、握力(kg):26.8/27.5、片脚立位時間(秒):74.5/88.1、骨密度(%):72.1/78.8となり、骨密度でのみ有意差が認められた。次に参加者のアンケート結果について、サークルに参加して「とても良い」が74%、「良い」が22%、「どちらでもない」が4%であった。「専門的な運動の指導が受けられることで体調がよくなった。」との意見や、「学生との会話が新鮮で元気をもらえる。」などの肯定的な意見が多かった。また学生のアンケート結果について、全員がサークルに参加して「とても良い」と回答し、「高齢者とのコミュニケーションに自信がついた。」「臨床実習でサークルでの実践経験が役に立った。」との意見があった。
【結論】
この活動を支援することで、世代間交流が地域の活性化につながる期待感が強まった。予防理学療法を実践することで、地域在住高齢者の健康維持・増進に寄与できているだけではなく、医療人を志す学生にとっても、同世代との間では経験することが出来ない貴重なコミュニケーションの体験の場となり、準医療人としての自覚と臨床力を高めたものと考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は中部大学倫理審査委員会の承認を得たうえで、ヘルシンキ宣言に則って実施した。