[P-59] 地域における理学療法士が行う健康教育の実践
~ウォーキング教室を定期開催して得た学びと課題~
Keywords:運動の継続、ウォーキング、転倒不安感
【目的】健康寿命の延伸には、フレイル予防が必要である。フレイルの診断基準は体重
減少、筋力低下、疲労感、歩行速度、身体活動とされており、65 歳以上の高齢者の中に
はフレイルが 10%近く含まれていると言われている。当院のある市の高齢化率は 平成29年度で26.1%となっており、地区毎で見ると37%の地区もある。そのためフレイルを有する割合が高いと推測される。
そこで住民に対し、理学療法士が関わる定期的なウォーキング教室を開催し、効果検証を行う事での運動機能と転倒不安感、生活範囲との関係性を明らかにする
【方法】院内、近隣クリニックや店舗などでチラシを掲示し、集まった住民に対し全 7 回 (1 回/月)でフレイルや正しくウォーキングを行うための講義とウォーキング実技(インターバル速歩:快適歩行・速歩を 3 分毎に 15 分実施)を実施した。基本チェックリスト,E-SAS内の『生活の広がり』と『転ばない自信』、運動機能として 2step テスト(2歩幅/身長)、TUG(Timed Up Go Test)を評価した。全 7回参加した 18名(平均年齢 70.4 歳)の中で、基本チェックリストの No.1~No.20 の合計点が向上した群は 11 名おり、その中でも運動能力を表す項目に改善があった 8 名を対象者とし改善した項目の確認と運動機能の評価結果の初回と最終の差を検証した。
【結果】8 名中 5 名に「10.転倒に対する不安は大きいですか」の改善が認められた。8名の 2step テストの結果は、平均初回 1.36、最終 1.47、差 0.11、TUGは平均初回10.24秒、最終8.98秒 とわずかな改善がみられた。『生活の範囲』『転ばない自信』においては要支援レベルから一般高齢者と同等のレベルにまで変化した。
【考察】地域在住高齢者の転倒不安感と運動機能の関係性については、先行研究においてそれぞれ影響は与えるが相関があるものはなかった。これは転倒が多くの要素が合わさり生じる事や、高齢者の身体機能は個別性が高い事が要因と考える。また、村田らは転倒に対する不安が軽減した理由として「地域在住高齢者に対するウォーキング介入は、心理機能への効果として主観的健康感の向上が認めた」とし、前場らは「主観的健康状態の向上が転倒自己効力感の向上に寄与する」としている。今回同様の結果が得られたと考えるが、文献における心理面の評価は、評価バッテリーを使用しており、検証する必要がある。運動機能がわずかな改善となった理由は今回の運動機能評価が筋力・バランス能力などを含めた歩行能力を総合的にみるものであり、改善には期間が必要な事が考えられた。能勢らはインターバル速歩の実施で、筋力改善効果が期待できる期間は週1回程度、5 か月の継続が必要としている。今回、月 1 回介入の計7か月であり、実施状況のモニタリング不足や実施期間の見直しをする必要がある。
【結論】ウォーキングを継続する事で、転倒に対する不安を軽減させる取り組みの一つとなり生活範囲が拡大することが示唆された
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者にはヘルシンキ宣言に沿って初回に研究の趣旨及び目的の説明を行い同意を得た
a 研究等の対象となる個人の人権の擁護
評価結果はExcelファイルにて保管する。どちらも連結可能な匿名化(個人識別情報を削除し、新たに符号または番号を付し、対応表を作成する)を行う。
b 研究等の対象者に理解を求め同意を得る方法
対象者には課題説明書を用いて、研究代表者から本研究の内容を説明し依頼する。説明後の応募は任意とする。希望者には口頭と文章で説明後、研究の参加に対する同意の確認を行う。研究の撤回も可能な事も説明する。またその際に対象者にとって不利益が被らないよう撤回した事を他者に情報提供しない。
c 研究等によって生じる個人への不利益及び危険性に対する配慮
① 危険や不利益等の内容(研究中あるいは研究終了後の身体的・精神的な影響):
研究実施時における対象者の身体的・精神的ストレスは生じない。個人情報保護には十分留意し、個人を特定できないように情報を匿名化し対応している。
減少、筋力低下、疲労感、歩行速度、身体活動とされており、65 歳以上の高齢者の中に
はフレイルが 10%近く含まれていると言われている。当院のある市の高齢化率は 平成29年度で26.1%となっており、地区毎で見ると37%の地区もある。そのためフレイルを有する割合が高いと推測される。
そこで住民に対し、理学療法士が関わる定期的なウォーキング教室を開催し、効果検証を行う事での運動機能と転倒不安感、生活範囲との関係性を明らかにする
【方法】院内、近隣クリニックや店舗などでチラシを掲示し、集まった住民に対し全 7 回 (1 回/月)でフレイルや正しくウォーキングを行うための講義とウォーキング実技(インターバル速歩:快適歩行・速歩を 3 分毎に 15 分実施)を実施した。基本チェックリスト,E-SAS内の『生活の広がり』と『転ばない自信』、運動機能として 2step テスト(2歩幅/身長)、TUG(Timed Up Go Test)を評価した。全 7回参加した 18名(平均年齢 70.4 歳)の中で、基本チェックリストの No.1~No.20 の合計点が向上した群は 11 名おり、その中でも運動能力を表す項目に改善があった 8 名を対象者とし改善した項目の確認と運動機能の評価結果の初回と最終の差を検証した。
【結果】8 名中 5 名に「10.転倒に対する不安は大きいですか」の改善が認められた。8名の 2step テストの結果は、平均初回 1.36、最終 1.47、差 0.11、TUGは平均初回10.24秒、最終8.98秒 とわずかな改善がみられた。『生活の範囲』『転ばない自信』においては要支援レベルから一般高齢者と同等のレベルにまで変化した。
【考察】地域在住高齢者の転倒不安感と運動機能の関係性については、先行研究においてそれぞれ影響は与えるが相関があるものはなかった。これは転倒が多くの要素が合わさり生じる事や、高齢者の身体機能は個別性が高い事が要因と考える。また、村田らは転倒に対する不安が軽減した理由として「地域在住高齢者に対するウォーキング介入は、心理機能への効果として主観的健康感の向上が認めた」とし、前場らは「主観的健康状態の向上が転倒自己効力感の向上に寄与する」としている。今回同様の結果が得られたと考えるが、文献における心理面の評価は、評価バッテリーを使用しており、検証する必要がある。運動機能がわずかな改善となった理由は今回の運動機能評価が筋力・バランス能力などを含めた歩行能力を総合的にみるものであり、改善には期間が必要な事が考えられた。能勢らはインターバル速歩の実施で、筋力改善効果が期待できる期間は週1回程度、5 か月の継続が必要としている。今回、月 1 回介入の計7か月であり、実施状況のモニタリング不足や実施期間の見直しをする必要がある。
【結論】ウォーキングを継続する事で、転倒に対する不安を軽減させる取り組みの一つとなり生活範囲が拡大することが示唆された
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者にはヘルシンキ宣言に沿って初回に研究の趣旨及び目的の説明を行い同意を得た
a 研究等の対象となる個人の人権の擁護
評価結果はExcelファイルにて保管する。どちらも連結可能な匿名化(個人識別情報を削除し、新たに符号または番号を付し、対応表を作成する)を行う。
b 研究等の対象者に理解を求め同意を得る方法
対象者には課題説明書を用いて、研究代表者から本研究の内容を説明し依頼する。説明後の応募は任意とする。希望者には口頭と文章で説明後、研究の参加に対する同意の確認を行う。研究の撤回も可能な事も説明する。またその際に対象者にとって不利益が被らないよう撤回した事を他者に情報提供しない。
c 研究等によって生じる個人への不利益及び危険性に対する配慮
① 危険や不利益等の内容(研究中あるいは研究終了後の身体的・精神的な影響):
研究実施時における対象者の身体的・精神的ストレスは生じない。個人情報保護には十分留意し、個人を特定できないように情報を匿名化し対応している。