[P-64] 傾斜歩行能力の向上に向けた取り組み
訪問リハビリでの関わり
Keywords:スライディングボード、傾斜歩行、多面的
【はじめに、目的】
訪問リハビリで利用者様の自宅を訪れると、玄関前のスロープ昇降に不安を訴える事が多々ある。屋外平地歩行はシルバーカー、杖等を用いて行えるが傾斜になると転倒のリスクが上がるため、外出を控えてしまうこともある。 傾斜歩行の上りでは大殿筋・内側広筋・下腿三頭筋等が平地歩行以上の筋活動が求められ、下りでは大腿四頭筋の強い遠心性収縮が必要であるとされている。また、路面・天候・荷物を持つなどの外的要因も考慮しなくてはならない。そのため、筋出力、遠心性収縮、外的要因を考慮したアプローチが必要である。
今回は頸椎前方除圧術後に自宅へ退院された方の、スロープ歩行能力の向上のために上記の3点を考慮したアプローチを行い改善がみられたため報告します。
【方法】
利用者利用者様は女性、75歳、現病歴は平成30年6月頃から上下肢に痺れ、左下肢に疼痛が出現し7月30日にC4・5・6前方除圧固定術を施行。
症状出現前は基本的なADLは自立、現在は左下肢の痺れ、疼痛は無し。介護度は要支援2、ヘルパーは週2回利用している。
主訴は足がふらついて歩きにくい。HOPEは外出したり、畑仕事がしたい。NEEDは玄関前のスロープを何も持たずに歩けるようになる。初期評価(平成30年10月8日)はNumerical Rating Scale(NRS)は「0」、痺れは無し。Range Of Motion(ROM)は股関節伸展-5/-5。Manual Muscle Testは股関節屈曲「3+」、伸展「2」、屈曲「3+」、膝関節伸展「4」、足関節背屈「4」、底屈「2+」、外転「2」、機能的テストとして以下を行った。閉脚閉眼テストは2秒、10m歩行(最速)19秒4(32歩)、30秒立ち座りテストは5回、スライディングボード(以下SB)上リアステップ(以下RS)は支持なし不可、スロープ歩行(サンダル)は53秒10。
以上より、大殿筋の多面での活動性を考慮し、出力の向上・遠心性収縮アプローチを進めていく事とした。治療はSBを利用し片手支持にて、下肢を真っすぐに後方に滑らさせる。下肢を後方に真っすぐ滑らさせながら、上肢を斜め前方にリーチさせる。下肢を斜め後方にリーチさせる。ゴムチューブで体幹を側方から引っ張り多方面からの外力を模倣した中で、上記の動作を行う。随時支持を減らしながら難易度を調整した。
【結果】
最終評価(12月10日)MMTの股関節伸展「3」となる。その他に変化はみられなかった。
機能的テストは閉脚閉眼テストは30秒、10m歩行(最速)15秒6(28歩)、30秒立ち座りテスト:11回、SBは支持無しにて上肢運動可能となる。スロープ歩行(サンダル)は32秒となる。
【結論】
大殿筋の筋力の向上とSBが支持無しに行えるようになった事から、殿筋の多面上での求心性、遠心性収縮の出力の向上が考えられる。これらの殿筋群の機能向上によって傾斜昇降能力が上がったと考えられる。
動作を向上するには単関節での運動だけではなく、多面上での運動を考慮し、機能的なアプローチが重要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ条約に基づき利用者様に説明し、同意を得た。
訪問リハビリで利用者様の自宅を訪れると、玄関前のスロープ昇降に不安を訴える事が多々ある。屋外平地歩行はシルバーカー、杖等を用いて行えるが傾斜になると転倒のリスクが上がるため、外出を控えてしまうこともある。 傾斜歩行の上りでは大殿筋・内側広筋・下腿三頭筋等が平地歩行以上の筋活動が求められ、下りでは大腿四頭筋の強い遠心性収縮が必要であるとされている。また、路面・天候・荷物を持つなどの外的要因も考慮しなくてはならない。そのため、筋出力、遠心性収縮、外的要因を考慮したアプローチが必要である。
今回は頸椎前方除圧術後に自宅へ退院された方の、スロープ歩行能力の向上のために上記の3点を考慮したアプローチを行い改善がみられたため報告します。
【方法】
利用者利用者様は女性、75歳、現病歴は平成30年6月頃から上下肢に痺れ、左下肢に疼痛が出現し7月30日にC4・5・6前方除圧固定術を施行。
症状出現前は基本的なADLは自立、現在は左下肢の痺れ、疼痛は無し。介護度は要支援2、ヘルパーは週2回利用している。
主訴は足がふらついて歩きにくい。HOPEは外出したり、畑仕事がしたい。NEEDは玄関前のスロープを何も持たずに歩けるようになる。初期評価(平成30年10月8日)はNumerical Rating Scale(NRS)は「0」、痺れは無し。Range Of Motion(ROM)は股関節伸展-5/-5。Manual Muscle Testは股関節屈曲「3+」、伸展「2」、屈曲「3+」、膝関節伸展「4」、足関節背屈「4」、底屈「2+」、外転「2」、機能的テストとして以下を行った。閉脚閉眼テストは2秒、10m歩行(最速)19秒4(32歩)、30秒立ち座りテストは5回、スライディングボード(以下SB)上リアステップ(以下RS)は支持なし不可、スロープ歩行(サンダル)は53秒10。
以上より、大殿筋の多面での活動性を考慮し、出力の向上・遠心性収縮アプローチを進めていく事とした。治療はSBを利用し片手支持にて、下肢を真っすぐに後方に滑らさせる。下肢を後方に真っすぐ滑らさせながら、上肢を斜め前方にリーチさせる。下肢を斜め後方にリーチさせる。ゴムチューブで体幹を側方から引っ張り多方面からの外力を模倣した中で、上記の動作を行う。随時支持を減らしながら難易度を調整した。
【結果】
最終評価(12月10日)MMTの股関節伸展「3」となる。その他に変化はみられなかった。
機能的テストは閉脚閉眼テストは30秒、10m歩行(最速)15秒6(28歩)、30秒立ち座りテスト:11回、SBは支持無しにて上肢運動可能となる。スロープ歩行(サンダル)は32秒となる。
【結論】
大殿筋の筋力の向上とSBが支持無しに行えるようになった事から、殿筋の多面上での求心性、遠心性収縮の出力の向上が考えられる。これらの殿筋群の機能向上によって傾斜昇降能力が上がったと考えられる。
動作を向上するには単関節での運動だけではなく、多面上での運動を考慮し、機能的なアプローチが重要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ条約に基づき利用者様に説明し、同意を得た。