第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター3

[P] ポスター3

2019年12月15日(日) 12:30 〜 13:30 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-67] 軽度要介護者の日常生活機能と身体機能評価の関係

*仲里 到1、前田 伸悟1、武田 尊徳2 (1. いわきケアフォレスト リハビリデイサービスアクティ、2. 上尾中央総合病院リハビリテーション技術科)

キーワード:身体機能評価、軽度要介護者、日常生活機能

【はじめに・目的】
超高齢化に伴い介護認定を受ける高齢者が近年増加しており、要介護度の上昇に伴い身体機能及び心身機能が低下し介助を要す割合は高くなる傾向にある。要介護1・2と要介護3での境目は、「日常生活動作、手段的生活動作の両方の観点において部分介助かほぼ全面的な介護が必要となる状態」とされており、特別養護老人ホームへ入居など24時間体制の支援サービスの提供は原則要介護3以上とされるなど、日常生活機能の悪化によって軽度要介護者から要介護3以上の中等度・重度要介護者へ推移していく事と考えられる。したがって介護度が軽度のうちから日常生活機能を考慮したリハビリテーションの実施が重要であるが、軽度要介護者の日常生活機能に影響を与える身体機能は明らかになっていない。そこで本研究はどのような評価項目が日常生活機能に影響を与えるか明らかにすることを目的とし、要介護1・2を対象として日常生活機能に対する身体機能評価の影響を検討した。
【方法】
対象は要介護1および要介護2の認定を受けて通所リハビリテーションを利用している85名とした。対象者のBarthel Index(以下BI)を従属変数、年齢、握力、Timed up and go test(以下TUG)、Short Physical Performance Test(以下SPPB)を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を実施した。統計解析にはR-2.8.1を用い、有意水準は5%とした。
【結果】
対象の属性は要介護1が49名、要介護2が39名で平均年齢は77.6±9.1歳であった。BIを従属変数とした重回帰分析の結果、SPPB(R=0.17)のみが変数として採用された。
【結論】
軽度要介護者のBIに影響を与える身体機能評価はSPPBという結果となった。SPPBの構成要素は、歩行、立位バランス、椅子からの立ち上がりの3項目からなり、握力といった一部の機能の評価ではなくバランス、歩行、下肢筋力、持久力の包括的な評価であることから、より日常生活機能を反映したものと考えられる。また軽度要介護者では移動機能は比較的自立している傾向があり、TUGのような移動機能の評価の影響は少なかったことが考えられる。軽度要介護者に対してはSPPBを用いた評価からリハビリテーションプランを立案し実施することで、日常生活機能悪化の抑制に寄与できる可能性がある。しかし本研究では認知面や自宅環境、家族因子などの加味しておらず横断的な検討であるため、今後はこれらの要因を加えたコホート研究などで検証していく必要がある。そして同時に、重度介護者へのBIに影響を与える身体機能や社会的因子、心理的因子を検証する必要もある。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究の対象者の個人情報及び診療情報については「人を対象とした医学系研究に関する倫理指針」を遵守して取り扱い、研究における情報の利用については対象者から同意を得て実施した。