第6回日本地域理学療法学会学術大会

Presentation information

ポスター

ポスター3

[P] ポスター3

Sun. Dec 15, 2019 12:30 PM - 1:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-74] 訪問リハビリテーションで電気刺激と運動療法を併用し、歩行速度の向上を認めた脳卒中片麻痺患者に関する報告

*角田 悠拓1 (1. 医療法人社団三喜会鶴巻温泉病院)

Keywords:歩行速度、電気刺激、訪問リハビリテーション

【はじめに・目的】訪問リハビリテーション(訪問リハ)では社会参加を促し、生活空間を拡げる関わりが重要である。生活空間の拡がりは歩行速度と相関があると報告されており、本症例の生活空間を拡げる為には歩行速度の向上が必要であると考えた。今回、電気刺激と運動療法を組み合わせた介入を行った所、歩行速度の向上を認めた。本研究の目的は電気刺激と運動療法を組み合わせた訪問リハが歩行速度の向上に対し、どのように寄与したと考えられるのか、一症例報告を通じて検討する事である。
【方法】対象は初発の脳梗塞(前大脳動脈領域アテローム血栓性)により左片麻痺を呈した50歳代の女性である。第13病日に回復期病棟に入院し、第191病日に自宅退院、第196病日に訪問リハを開始した。訪問リハ開始時の歩行速度[T字杖と足関節装具(オルトップRAFO‐LHプラス)を使用]は0.45m/秒、フリーハンド歩行(裸足)での歩容は左ICで左足底後外側から膝関節軽度屈曲位で接地し、左LRで足関節底屈と膝関節の過度の伸展が生じ、左MStから左TStで反張膝を認めた。左下肢Brunnstrom Recovery Stage(BRS)はIII、左下腿三頭筋のModified Ashworth Scale(MAS)は1、Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)の左Knee Extension Testは1、左膝伸展筋力は0.15kgf/kg、静止立位からの右下肢最大一歩幅は40cmであった。PT評価から、歩行速度の向上には大腿四頭筋の筋力向上が必要ではないかと考え、大腿四頭筋の筋力増強を目的に神経筋電気刺激装置ウォークエイドR(周波数30Hz、パルス幅100μ秒)を使用し介入を行った。介入は大腿四頭筋セッティング、部分歩行練習(左ICから左TSt)、屋内歩行練習とした。大腿四頭筋セッティングは大腿四頭筋への電気刺激中(4秒刺激/8秒休止)に行い、本人の耐えうる最大強度で10分間行った。部分歩行練習(T字杖と足関節装具使用)は左LR以降に反張膝が出ない様、PTが徒手で膝関節を操作しながら20回(右下肢を一歩後方から前方へ踏み出す毎に1回)×3セット行った。部分歩行練習と歩行練習(T字杖と足関節装具使用)は左LRに反張膝が起こらない程度の強度で大腿四頭筋へ電気刺激を行った。
【結果】全4回介入後の歩行速度(T字杖と足関節装具使用)は0.71/秒、フリーハンド歩行(裸足)での歩容は左ICで左足底後外側から膝関節軽度屈曲位で接地した後、左LRで膝関節屈曲し、左MStからTStで反張膝は認めなかった。BRSはIII、左下腿三頭筋のMASは1、SIASのKnee Extension Testは3、左膝伸展筋力は0.21kgf/kg、静止立位からの右下肢最大一歩幅は60cmであった。
【結論】電気刺激を組み合わせた運動療法を行い、左大腿四頭筋の筋力増強が図れた。左大腿四頭筋の筋力増強に伴い、左LR以降の反張膝が消失し、歩幅が拡大した事で歩行速度の向上に繋がったと考えた。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当院臨床研究倫理審査員会の承認を(承認番号379)を得た上で実施された。尚、本研究に関し、書面で対象者の同意を得た。