第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター3

[P] ポスター3

Sun. Dec 15, 2019 12:30 PM - 1:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-78] 板橋区高齢者等地域リハビリテーション支援事業における理学療法士の役割

*可児 利明1、茂内 暁子1、羽中田 賢1、中山 初代2、岩渕 真理絵2、浅川 康吉3 (1. 竹川病院、2. 板橋区おとしより保健福祉センター、3. 首都大学東京)

Keywords:地域リハビリテーション活動支援事業、10の筋トレ、通いの場

【目的】

板橋区では,平成29年度より「高齢者等地域リハビリテーション支援事業」として,「住民運営型介護予防グループ」の立ち上げに取り組んでいる.同事業は板橋区版AIP(aging in place)の一環として「自立支援・介護予防の取り組み強化に向けたリハビリテーション専門職との協働」を推進し,通いの場の拡充は「板橋区版10の筋トレ事業」として,第7期介護保険事業計画(保険者機能強化重点事業)において,60グループの立ち上げ・継続,参加者数900人を目標としている.この事業への理学療法士の関わりについて以下にまとめる.
【方法】

群馬県にて効果が実証されている住民主導型介護予防事業「鬼石モデル~高齢者の暮らしを拡げる10の筋トレ~」の事業スタイルを基盤とし,都市部における特徴を考慮し若干の修正を加えた「板橋区版10の筋トレ」として活動を開始した.区内リハ専門職で組織する「いたリハネット介護予防部会」が,通いの場の立ち上げのための「動機付け支援」,活動を継続するための「継続支援」を担った.「動機付け支援」では,社会的背景を含めた介護予防の重要性や,運動の効果,運動と生活の関わりについての講義を通して高齢者のやる気を引き出す役割を担った.また,活動初期3回までは専門職がグループに訪問して筋トレの指導と運営の相談役を担い,グループが自立して「実践する場」を運営できるよう支援した.継続支援では,「実践する場」に加えて「学ぶ場」の充実に取り組んだ.「地区合同筋トレ」を区内4会場で年12回開催し,介護予防の知識を深め,グループ活動の意欲を高めるための取り組みを行った.具体的にはステップアップした筋トレの指導や体力測定を実施し,参加者が効果を確認したり他グループと交流したりできる場としている.また,1年以上活動しているグループには「マスターコース」と題し,通いの場の継続の意義や地域づくりとの結びつきについて, より発展的な講義を行った.
【結果】
平成30年度に新たに立ち上がったグループは21グループ,リハ職の派遣は延べ92回であった.全体では令和元年6月現在,50グループ・約800人が活動中であり,途中で活動をやめたグループはない.

【結論】
参加者が身体や生活の変化を感じられる様に,筋トレの方法だけでなくその意味や生活との関わりを伝え,仲間と「実践する場」が充実し楽しい場になる様に促すことはもちろん,介護予防による地域づくりについて理解を深める「学ぶ場」で専門職が低頻度かつ長期的に関われるような仕掛けをした事が高齢者の活動意欲を高めたのではないかと考える.高齢者がより能動的に地域づくりに関わる意欲を引き出す取り組みに,企画段階から貢献した介護予防部会の中心には,介護予防推進リーダを取得した理学療法士が10名以上いたことも大きく寄与している.

【倫理的配慮、説明と同意】
この活動は自己責任で行うこと,持病のある方は参加の可否について主治医に相談することを充分に説明し同意を得た.また,当院倫理審査委員会において発表についての承認を得ている.