第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター3

[P] ポスター3

2019年12月15日(日) 12:30 〜 13:30 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-81] 『住民主体の通いの場の参加者における運動機能の特徴』
要介護認定での比較

*岩﨑 多裕1、石川 大輔1、松本 大輔2、山本 淳1、吉岡 豊城1、愛洲 純1 (1. 医療法人はぁとふる 運動器ケア しまだ病院 リハビリテーション課、2. 畿央大学 健康科学部 理学療法学科)

キーワード:運動機能、通いの場、ロコチェック

【はじめに・目的】
現在、羽曳野市では「住民主体の通いの場」等をリハ専門職が支援する地域リハ活動支援事業が進められている。参加する住民の運動能力の個人差は大きい傾向にあるが、要介護認定との関係性が高いロコモティブシンドローム(以下ロコモ)の調査を行った研究はほとんどみられない。そこで本研究では、「住民主体の通いの場」への参加者における要介護認定の有無による運動機能について調査した。
【方法】
対象者は羽曳野市在住の高齢者511名(男性111名、女性400名)で、調査期間は2018年12月~2019年2月とした。平均年齢は76.2±6.7歳、身長153.2±11.4cm、体重54.2±9.5kgであった。対象者を非介護保険認定者、介護保険認定者の2群に群分けし、調査項目として、ロコチェックの7項目(片脚立ちで靴下が履けない項目(以下Q1)、家の中でつまずいたり滑ったりの項目(以下Q2)、階段を上がるのに手すりが必要である項目(以下Q3)、家のやや重い仕事が困難である項目(以下Q4)、2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である項目(以下Q5)、15分くらい続けて歩くことができない項目(以下Q6)、横断歩道を青信号で渡りきれない項目(以下Q7))を用いた。またロコチェックの各項目の該当率を2群間で比較するため、統計解析はχ二乗検定を用い、有意水準を5%未満とした。
【結果】
非介護保険認定者は457名(男性105名、女性352名)、介護保険認定者は54名(男性6名、女性48名)であった。非介護保険認定者および介護保険認定者の各項目の該当数の割合は、それぞれ0個が33.7%、1.92%、1~2個が74.3%と15.4%、3~5個が23.5%と65.4%、6~7個で2.2%と17.3%であった。各項目の該当率は非介護保険認定者および介護保険認定者の結果はQ1で39.5%、81%、Q2で20.8%、57.4%、Q3で45%、96.2%、Q4で19.3%、70.3%、Q5で16.8%、44.4%、Q6で11.8%、81.5%、Q7で2.7%、20.3%、であり、全ての項目で有意な差が認められた。
【結論】
「通いの場」における非介護保険者と介護保険者の比較では介護保険者でロコモに該当する項目が多かった。これは歩行能力の低下が大きいと考えられる。また非介護保険者でもロコモに該当する対象者が多い傾向にあり、このことは非介護保険者でも運動器の障害を持っているということが想起される。
厚労省は通いの場での介護予防事業に、リハの専門職が関わることを推奨している。理学療法士も運動指導や体力測定だけではなく、効果的な介入による介護予防事業で、運動機能の低下を早期発見しアプローチすることが「通いの場」での理学療法士の役割であると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に従い、対象者全員に対して本研究の目的と方法、個人情報の保護について十分な説明を行い、同意を得られたものに対して実施した。