第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-87] 「地域共生社会」に向けて活動できるリハビリテーション専門職の育成を目指して
-人材育成研修修了者の活動状況調査の結果から-

*高松 滋生1、田所 愛理1、乙川 亮1、高田 佳菜1、梅居 奈央1、宮本 昌寛1、川上 寿一1、備酒 伸彦2 (1. 滋賀県立リハビリテーションセンター、2. 神戸学院大学総合リハビリテーション学部)

Keywords:地域活動状況、リハビリテーション専門職、地域共生社会

【はじめに】
滋賀県立リハビリテーションセンターでは,「地域共生社会の構築」に資する人材育成を目的として,リハビリテーション専門職(以下,リハ専門職)を対象に,地域共生社会実現に向けた既存事業への支援,あるいは新たな事業の創出に向けた研修を行っている(昨年度本学会にて報告済).
今回,研修を修了したリハ専門職にその後の地域における活動状況を調査した結果に考察を加え報告する.
【調査目的・方法・対象】
調査は,研修を修了したリハ専門職が,その後地域において研修の内容を実践に活かせているかの把握,また行政等とリハ専門職の連携・協働に係る現状の把握を目的に実施した.
方法は,調査票をリハ専門職に電子メールで送信し,記載後返信を依頼した.内容は,研修の学びを自施設での対象者への支援に活かせているか,自施設での人材育成に活かせているか,市町や健康福祉事務所の事業に参画しているかなど7項目について調査を行った.調査は平成30年12月に実施した.
対象は,平成29年度に実施した「地域リハビリテーション人材育成研修」を修了したリハ専門職35名(PT:21名,OT:13名,ST:1名).所属機関の内訳は,医療機関が15名(42.9%),それ以外では介護保険に係る事業所に所属している者が18名(51.4%)あった.また,行政機関に所属する者が2名(5.7%)あった.
【結果】
調査は,研修を修了したリハ専門職全員から回答を得た(回答率:100%).①研修の学びを自施設での支援に活かせていると回答したのは24名(68.6%),②自施設での人材育成に活かせていると回答したのは15名(42.9%)であった.③研修修了後,市町や健康福祉事務所(保健所)の事業に参画している者は16名(47.1%,n=34),④その中で学びを活かせていると回答した者は13名(81.3%)であった.⑤参画している事業領域について(複数回答)は高齢領域が12名(75.0%)で最も多く,次いで障害領域および子供の領域が各3名(18.8%)であった.また,⑥参画していない18名について,機会があれば参画したいと16名(88.9%)が回答し,⑦参画機会が無い要因について(複数回答),「行政からの依頼がない」(9名,50.0%),「情報やきっかけが得られない」(5名,27.8%)の他,「職場の人手不足」(5名,27.8%)や「施設から許可が得られない」(3名,16.7%)などの回答があった.
【結論】
当センターの人材育成研修は,国が目指す「地域共生社会」の一助となるよう障害領域に軸足を置き,市町などの行政と協働することができる人材を育成することを目的にした研修である.研修を修了し半年を過ぎた時点での活動状況調査であるが,修了者の約半数が市町等行政の事業に関与している結果となった.高齢以外の領域で地域活動を実践するには,未だ周辺の環境が整っていない状況にあるが,小児も含めて障害領域で行政と協働している修了者が存在する現状を鑑みると,地域において如何にリハ専門職への期待が大きいかが伺い知れる結果であったと考える.

【倫理的配慮、説明と同意】
今回の演題について,調査を実施するにあたっては,その目的と結果の利用方法および回答は本人の自由であること,また回答の有無や内容によって不利益などが生じないことを電子文書で明示し,回答することにより同意を得たものとした.さらに,発表にあたっては個人が特定されないよう配慮した.
加えて,演題発表の内容に関連し,開示すべきCOI関係にある企業などはない.