第6回日本地域理学療法学会学術大会

Presentation information

ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-90] 介護現場における靴の市場調査
通所介護・訪問看護に着目して

*伊藤 利充1 (1. 訪問看護ステーション ラシクアーレ)

Keywords:在宅サービス、靴の選択、市場調査

【はじめに・目的】
靴は地面と足を隔てる外的環境であり、立位姿勢や歩行に多大な影響を与える。先行研究では裸足あるいは靴下の歩行と比較し、適切な靴の着用が転倒リスクを軽減させる事や歩行時の疼痛軽減が報告されており、屋内・屋外を問わず靴の着用が推奨されている。しかし介護現場では靴の着脱容易さで靴を選択する方やオーバーサイズ着用など誤った履き方をしている方が多く見られる。そこで今回は、通所介護・訪問看護利用者が履いている靴の傾向や靴への関心度を市場調査したのでここに報告する。
【方法】
弊社の通所介護サービス利用者(以下、デイ利用者)50名(男性12名、女性38名、平均年齢79.9±7.4歳)、訪問看護サービス利用者(以下、訪看利用者)50名(男性18名、女性32名、平均年齢82.7±6.9歳)計100名を対象とし、アンケート調査を実施した。調査項目は①靴の種類〔スポーツシューズ/スニーカー/介護靴/革靴/その他〕②靴の購入基準〔デザイン/機能性/病院や店員の勧められた靴/その他〕③外出頻度〔月一回/週一回/週二回以上/毎日〕④新しい靴の買替時期の基準〔年数/踵の擦り減り/靴のヘタリを感じた時/その他〕⑤購入時は必ず履くか〔はい/いいえ〕の5項目を調査した。
【結果】
調査項目である①・②・③・⑤の結果においては関連性がみられた。①において、デイ利用者はスポーツシューズ(64%)が最も多く、機能性(84%)重視で靴を購入していた。また訪看利用者は介護靴(54%)が最も多く、購入基準も機能性(42%)、デザイン性(22%)、病院職員や靴販売店の店員に勧められた靴(20%)との結果となった。外出頻度もデイ利用者が毎日(20%)週二回以上(76%)と多く、訪看利用者は月一回(24%)、週一回(14%)、週二回以上(44%)、毎日(16%)という結果となった。④ではデイ利用者・訪看利用者ともに靴のヘタリを感じた時が購入基準にあり、⑤の靴購入時必ず試着してから購入することについてはデイ利用者90%、訪看利用者74%との結果だった。
【結論】
デイ利用者は訪看利用者より靴への関心度が高い。その理由に外出頻度や外出先での目的が関与しているのではないかと考える。デイ利用者は通所先での運動が目的であり機能性の高いスポーツシューズを選ぶ傾向がある。約半数が介護靴を占める訪看利用者は、月一回の病院受診のみ外出するケースも多くみられ、その際、介助者が履かせやすい、本人が着脱しやすいことを理由に介護靴を選ぶ傾向にあるのではないかとも考えられる。今回の調査で履かれている靴の傾向や関心度が把握出来た為、今後は靴のサイズ確認や履き方などを調査し、適性靴の選択・履き方の定義を追求していきたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究を行うにあたり、ご本人 (ご家族)に口頭にて確認をし、本研究以外では使用しないこと、それにより不利益を被ることはないことを説明し、回答をもって同意を得たこととした。また、当施設倫理委員会の承認を得た。本研究に関連して開示すべき利益相反関係にある企業等はない。