第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-91] フィードバックが利用者にもたらす影響について
~E-SASを用いて~

*山本 勝智1、古城 哲也1、丹治 信志1 (1. 介護老人保健施設 フェルマータ船橋)

Keywords:E-SAS、フィードバック、自立支援

【はじめに・目的】平成30年度介護報酬改定により、介護予防給付においてもリハビリテーションマネジメント加算や生活行為向上リハビリテーション実施加算が新設された。通所リハビリテーション(以下;通所リハ)の役割として今まで以上に社会参加や自立支援が重要視されるようになったと考えられる。近年は生活空間の広がりをみる指標としてLife-Space Assessment(以下;LSA)等を用い、社会参加へ目を向けた研究も散見される。しかし、LSAが評価項目として含まれるElderly Status Assessment Set(以下;E-SAS)を用いた研究は少ない。そこで本研究の目的は、E-SAS初回評価と3ヶ月評価を各項目で比較し検討する事とした。
【方法】対象は当施設通所リハを平成27年6月1日から平成31年4月30日までに利用している要支援1、2認定者59名(女性49名、男性10名、年齢63-96歳)とした。平均利用期間は25ヶ月(5ヶ月~48ヶ月)であった。なお、評価期間中に区分変更した者、利用休止者、通所リハを修了した者は除外とした。評価項目はE-SAS(①生活のひろがり、②ころばない自信、③入浴動作、④歩くチカラ、⑤休まず歩ける距離、⑥人とのつながり)を用い、全対象に評価・フィードバック(以下;FB)を実施した。その後リハビリテーションを継続したのち、3ヵ月後に再度全対象にE-SASの評価を実施し、各項目の初回と3ヶ月後の変化を比較・検討した。統計学的処理はRコマンダーVer 1.4-8を用いWilcoxon検定を行い、有意水準は5%未満とした。
【結果】6項目中、生活のひろがりにおいて3ヶ月後が有意に高値を示した(p<0.05)。その他5項目においては有意差を認めなかった。 【結論】畠山らは、デイケア介入により身体機能への効果が期待できるのは新規利用から9ヶ月前後である可能性が示唆されると報告しているが、当研究の対象者は初回評価時の段階で長期利用が多かったため、心身機能は有意に改善しなかったと示唆される。原田らは、自己調整の技法の1つに具体的な目標設定や行動のFBを行う事が身体活動の促進に重要であるとし、動機づけにおける自己決定の程度が高くなるほど身体活動の促進に強く影響すると報告している。本研究で生活のひろがりに有意差が認められたのは、個別アドバイスシートを用い詳細な目標設定や結果を可視化してFBした事で、自身の生活を客観的に見直すきっかけとなり内的動機づけが強まり、活動への意欲が向上したのではないかと推察した。今回の結果から、軽度介護者のリハビリテーションにおいて心身機能面へのアプローチのみではなく、E-SASの様に日常生活を可視化できる評価シートを用いFBすることが自立支援に繋げられる一助になると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当法人倫理委員会の承認を得て行い、全ての対象者に本研究の目的と評価内容を説明し、同意とデータ使用許可を得た。