[P-93] 通所リハビリテーションにおける長期利用者の動向
Keywords:長期利用者の動向、維持期リハの役割、通所リハ
【はじめに・目的】
近年の介護報酬改定により,通所リハビリテーション(以下通所リハ)では,リハマネ加算Ⅱや生活行為向上リハ加算,社会参加支援加算など新たな報酬体系が導入され,活動や参加へ働きかけ,短期間で集中的かつ効率的なリハを実施することが求められている.生活行為向上リハ加算においては,6ヶ月を経過して通所リハを継続する場合には本体報酬が減算となり,通所リハの卒業を前提とした加算と言える.しかし,高齢者の身体機能や動作能力が加齢と共に低下する事は明白であり,通所リハの利用継続を希望する要介護高齢者は非常に多い.そこで,当施設を長期利用している利用者の要介護度の変化を調査し,定期的に運動を行っている長期利用者の動向や理学療法士の役割について考察する事を目的とした.
【方法】
平成30年12月現在,当施設を10年以上継続利用している長期利用者9名を対象とし,基本属性や利用期間,要介護度の経年変化,認定期間,通所リハ利用回数,入院歴,転倒歴,TUG,HDS-Rなどを通所リハ記録やリハ計画書,サービス提供票,ケアプランから調査した.
【結果】
対象者の内訳は男性4名,女性5名.開始時の年齢は50代1名,60代2名,70代4名,80代2名.疾患は骨関節疾患2名,脳血管疾患5名,神経筋疾患1名,精神疾患1名.利用年数は10年2名,11年4名,12年3名である.対象者の開始時と調査時の要介護度の変化において,介護度が変化なく維持した者は2名,軽度化したが元の介護度に戻った者は1名,軽度化したが最終的に重度化した者は3名,重度化した者は3名であった.認定期間は6ヶ月10回,1年42回,2年31回,3年3回.更新回数が最も多い者は13回の更新を経験していた.入院により一時利用を中断した者は7名で,入院延べ回数は12回であった.利用回数は週1回1名,2回2名,3回5名,4回1名だった.TUGの悪化は9名中6名,利用開始後の転倒歴は9名中8名,HDS-Rの悪化は9名中1名に認めた.通所リハを継続している理由や効果として「運動が出来る」「専門職がいる」「歩くのは遅くなったが,歩けている」「部屋の中を歩くことは維持できている」がみられた.通所介護の利用経験がある者は2名で,通所介護を選択しない理由として「個別リハがない」「レクリエーションに興味がない」があった.
【結論】
10年間の利用者動向では,入院や転倒を多く経験し,身体機能や認知面が低下した者を認めた.利用者は,身体機能の回復を望む一方で,加齢や病気などにより運動能力が低下することを理解している.そのため,独りで歩けるなど現状の生活レベルを維持する事を目標としている.運動を行う場所として通所介護よりも通所リハを希望する者も多い.高齢者の身体機能が加齢と共に低下していくことは避けられず,要介護者では健康状態も不安定なことが多い.維持期のリハを担う通所リハには,利用者の生活レベルを長期間に渡って維持する役割が求められているのではないだろうか.
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究をするにあたり,ヘルシンキ宣言に則って患者に研究の趣旨を説明し,同意を得た者を対象とした.また,発表にあたり個人が特定出来ないように配慮した.
近年の介護報酬改定により,通所リハビリテーション(以下通所リハ)では,リハマネ加算Ⅱや生活行為向上リハ加算,社会参加支援加算など新たな報酬体系が導入され,活動や参加へ働きかけ,短期間で集中的かつ効率的なリハを実施することが求められている.生活行為向上リハ加算においては,6ヶ月を経過して通所リハを継続する場合には本体報酬が減算となり,通所リハの卒業を前提とした加算と言える.しかし,高齢者の身体機能や動作能力が加齢と共に低下する事は明白であり,通所リハの利用継続を希望する要介護高齢者は非常に多い.そこで,当施設を長期利用している利用者の要介護度の変化を調査し,定期的に運動を行っている長期利用者の動向や理学療法士の役割について考察する事を目的とした.
【方法】
平成30年12月現在,当施設を10年以上継続利用している長期利用者9名を対象とし,基本属性や利用期間,要介護度の経年変化,認定期間,通所リハ利用回数,入院歴,転倒歴,TUG,HDS-Rなどを通所リハ記録やリハ計画書,サービス提供票,ケアプランから調査した.
【結果】
対象者の内訳は男性4名,女性5名.開始時の年齢は50代1名,60代2名,70代4名,80代2名.疾患は骨関節疾患2名,脳血管疾患5名,神経筋疾患1名,精神疾患1名.利用年数は10年2名,11年4名,12年3名である.対象者の開始時と調査時の要介護度の変化において,介護度が変化なく維持した者は2名,軽度化したが元の介護度に戻った者は1名,軽度化したが最終的に重度化した者は3名,重度化した者は3名であった.認定期間は6ヶ月10回,1年42回,2年31回,3年3回.更新回数が最も多い者は13回の更新を経験していた.入院により一時利用を中断した者は7名で,入院延べ回数は12回であった.利用回数は週1回1名,2回2名,3回5名,4回1名だった.TUGの悪化は9名中6名,利用開始後の転倒歴は9名中8名,HDS-Rの悪化は9名中1名に認めた.通所リハを継続している理由や効果として「運動が出来る」「専門職がいる」「歩くのは遅くなったが,歩けている」「部屋の中を歩くことは維持できている」がみられた.通所介護の利用経験がある者は2名で,通所介護を選択しない理由として「個別リハがない」「レクリエーションに興味がない」があった.
【結論】
10年間の利用者動向では,入院や転倒を多く経験し,身体機能や認知面が低下した者を認めた.利用者は,身体機能の回復を望む一方で,加齢や病気などにより運動能力が低下することを理解している.そのため,独りで歩けるなど現状の生活レベルを維持する事を目標としている.運動を行う場所として通所介護よりも通所リハを希望する者も多い.高齢者の身体機能が加齢と共に低下していくことは避けられず,要介護者では健康状態も不安定なことが多い.維持期のリハを担う通所リハには,利用者の生活レベルを長期間に渡って維持する役割が求められているのではないだろうか.
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究をするにあたり,ヘルシンキ宣言に則って患者に研究の趣旨を説明し,同意を得た者を対象とした.また,発表にあたり個人が特定出来ないように配慮した.