第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-95] 訪問リハビリテーション利用者における在宅生活阻害因子の検討

*民谷 雄太1、上村 龍輝1 (1. 済生会みすみ病院 在宅介護支援室)

Keywords:日常生活活動、在宅生活、訪問リハビリテーション

【はじめに、目的】訪問リハビリテーション(訪問リハビリ)利用者は日常生活活動(activity daily living:ADL)の向上や生活空間の拡大,通所サービスへの移行などによって訪問リハビリを終了することが望まれる.しかし,全身状態悪化により在宅生活の継続が困難となる終了者が多く存在する.そこで,訪問リハビリ利用者を対象に,在宅生活を阻害する要因を検討した. 【方法】2017年4月~2019年4月までに訪問リハビリを新規に利用開始・終了した170名(平均年齢81.3±8.7,男性76名,女性94名)を対象とした.対象者の訪問開始時における年齢,性別,要介護度,主疾患,疾病の有無,Barthel Index,歩行可否,同居者の有無を調査した.対象者のうち,死亡や入院によって在宅生活が中止となった者を入院群(87名),入院群以外の者を在宅継続群(83名)とした.統計処理には入院群と在宅継続群における訪問リハビリ開始時の各変数の差異を比較するために,Mann-Whitneyのu検定を用いた.要介護度は,要支援1~要介護2を軽度要介護,要介護3~5を重度要介護.歩行可否については,歩行不可,もしくは歩行可(介助歩行含む)と分類した.疾病の有無については,脳血管疾患,変形性膝関節症,転倒による骨折,腰部疾患,神経筋疾患,循環器疾患,呼吸器疾患,悪性新生物,精神疾患,その他の有無について各群での割合を比較した.有意水準は両側検定にて5%未満とした.
【結果】入院群は,男性43名,女性44名,平均年齢81.6±8.8歳.在宅継続群は,男性33名,女性50名,平均年齢81.0±8.7歳であった.性別,年齢に両群間の有意差は認められなかった.また,同居の有無や歩行の可否に関しても有意差は認められなかった.訪問開始時の各変数を群間で比較した結果,重度要介護の者(p<0.05),脳血管疾患や呼吸器疾患を有する者が入院群で優位に多く(p<0.05),日常生活活動能力の指標であるBarthel Index(入院群:平均66.7±28.9,在宅継続群:平均80.7±22.5)が入院群で優位に低かった(p<0.05).
【考察】疾病に関しては脳血管疾患や呼吸器疾患を有する者,要介護度においては重度要介護であることが在宅生活中止と関係している可能性が示唆された.また,在宅生活の継続には日常生活活動能力の高さが関連要因となることが示唆された.ADL低下は在宅生活を破綻させる要因であるため,ADLの維持・向上は重要であることが確認された.また,訪問リハビリは生活行為に対するアプローチが重点的になってしまう傾向にある.障害のさらなる重度化を予防して在宅生活を送るためには疾患の病態観察やリスク管理を行うことが重要である.特に本研究では,疾病に脳血管疾患や呼吸器疾患を有する利用者には留意する必要性があることが確認されたため,安定した在宅生活を継続し,心身機能状態の悪化を起こさないためには利用者の疾病にも着目する必要がある.

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき説明し同意を得ている.