第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-96] 訪問リハビリテーションにおける緊急事態に迅速かつ的確な行動を可能にする対策の整備

*丸山 陽介1、石川 征輝1、伊元 勝美1、中野 めぐみ1 (1. 医療法人社団 田島厚生会 神谷病院)

Keywords:訪問リハビリテーション、緊急事態、対策整備

【はじめに】
訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)の対象者は入院患者と違い、物理的に常時、医師の監視下にある訳ではなく、また、疾患特性、住宅環境および心理状況等により全身状態は容易に変化するために、訪問リハ実施前・中・後のリスク管理は重要である。そのため、訪問理学療法士、作業療法士および言語聴覚士(以下、訪問セラピスト)は多くの判断と対応を迅速かつ的確に行うことが要求される。特に脳血管疾患や熱中症等に起因する昏睡や心肺停止など生命に関わる重大な緊急事態では、初動開始までの時間がその後の回復を左右する。このような緊急事態への対応は各事業所において実施されているが発生頻度が稀であり、生命を左右する事態では発生時はパニックとなり、判断と対応を迅速かつ的確にできるかは未知である。また、判断に困惑する訪問セラピストも多いと想像される。今回、当訪問リハにおいて緊急時の対策の見直しを行い、新たな対策を策定したために報告する。
【当院概要】
特別区に位置するケアミックス型病院で、リハビリテーションセンターには約80名の職員が在籍、みなし事業所指定において短時間通所リハビリテーションと訪問リハを運営している。訪問リハは専属セラピスト6名で運営し概ね1年で交代している。
【具体的対策】
物理的対策として、対象者起因と災害起因の両方の緊急事態においても、行動可能なように簡潔で理解しやすい訪問セラピスト目線の「緊急時フローチャート」を作成した。そして、心肺蘇生法実施への戸惑いや躊躇を払拭するために要点のみが記載された「心肺蘇生法ガイド」も作成した。これらとともに、情報検索時間の短縮と救急隊等への正確な情報伝達を目的として、対象者ごとに血液型、疾患名、投薬状況、かかりつけ医、周辺の自動体外式除細動器など緊急時に必要と思われる事項が記載された「緊急時連絡先カード」を作成し、常時、必ず3つを持参させることとし朝礼時に確認することで失念をなくした。更に初動開始が少しでも早まるよう血圧計や訪問リハ用バッグに緊急時対応への啓発目的にタグをつけることも同時に行った。教育的対策は、以前より訪問リハに従事する全訪問セラピストに普通救命講習の受講を課すのみであったものを定期的にグループにおいて再確認をする機会を設定し、判断に躊躇する実際場面での具体的事案について当院救命科医師へ研修会開催を依頼し実施、より実践的な能力を高めるよう取り組みを行い現在も継続中である。
【今後の予定】
今後、緊急事態に迅速かつ的確な行動を可能にする対策を継続的に運用し、振り返りおよび問題点の抽出を行い加筆・修正を適時行っていく。訪問リハビリのみならず、屋外歩行練習や家屋評価など院外でセラピストが活動する場は少なくない。今後、そのような場合でも使用可能なように修正し導入を行っていく予定である。

【倫理的配慮、説明と同意】
本演題は取り組み報告であるために該当なく、演題中に対象者および個人情報の取り扱いはありません。