第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-98] 通所リハビリ利用者における転倒自己効力感と身体機能の関連について

*永岡 秀治1、大村 雅慶1、石田 雄志1、髙橋 聡1、笹原 直起1、髙橋 理絵1 (1. 介護老人保健施設あさがお)

Keywords:通所リハビリ、転倒自己効力感、身体機能

【はじめに・目的】高齢者にとって転倒は若年者に比べ骨折を伴うなど重大な出来事になることが多い。また実際に転倒しなくても、転倒に対する恐怖感を持つことにより、活動制限の要因となり身体機能の低下、日常生活動作(Activities of Daily Living以下、ADL)の低下を引き起すなど負の連鎖となることがある。そこで転倒に対する恐怖感について聴取することにより、より早い段階での活動制限の把握の一助になると考え、転倒自己効力感と身体機能の調査を行う事にした。
【方法】転倒自己効力感はModified Falls Efficacy Scale(以下、MFES)を利用し口頭にて質問した。身体機能評価についてはバランスの指標として片脚立位、ファンクショナルリーチテストを、筋力の指標として握力、5回立ち上がりテストを、歩行能力の指標として10m歩行最大、Timed Up and Go Test(以下、TUG)を実施した。MFESの点数の中央値で2グループに分け、各身体機能について有意差を調査した。またMFESと身体機能評価との相関関係についても調査した。分析方法は、統計解析ソフトStatcel4を用いT検定とピアソンの相関関係を両側検定で解析した。対象は当通所リハビリに通う利用者の中で施設内の移動形態が歩行の方の中から認知機能低下が著しい方を除く、101名(性別:男性41名、女性60名 平均年齢:80.46±7.03)とした。
【結果】MFES得点が高い群と低い群とで有意差が見られた身体機能評価の項目はファンクショナルリーチテスト(p<0.05)、握力(p<0.05)、5回立ち上がりテスト(p<0.05)、TUG(p<0.01)、10m歩行最大(p<0.01)であった。またMFESとの相関関係が見られた身体機能評価の項目は、ファンクショナルリーチ(r=0.328、p<0.01)、握力(r=0.215、p<0.05)、5回立ち上がりテスト(r=₋0.341、p<0.01)、TUG(r=₋0.373、p<0.01)、10m歩行最大(r=₋0.397、p<0.01)であった。
【結論】MFESの点数が低い群と高い群の間に危険率5%において複数の項目で有意差が確認できた。これはMFESの点数が低い群は高い群に比べ身体機能が劣っていることを示している。またMFESと身体機能の相関関係は個々に見ると弱いが、複数の評価項目に確認できた。これはMFESが特定の身体機能によって変化するのではなく、様々な身体機能が影響していることが言える。複数の身体機能評価に有意差と弱い相関関係が確認できた。これはMFESの低下が、活動制限が生じさせ、身体機能の低下に繋がる要因の一つとなったと考えられる。調査を通し、予想していた以上に高齢者は、何らかの不安を抱えながら生活を送っていることが分かった。そしてその不安は活動制限をもたらす要因の一つとなりうる。そのため身体機能の評価と共にMFES等を用いて心理面の把握も必要と考えられる。またそれに対し適切な声掛けを行うことにより、転倒自己効力感の向上に繋がり、活動制限を予防出来るのではと考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
研究の参加時に書面と口頭にて本研究の趣旨等を十分に説明したうえで同意書にサインを頂いた。