第6回日本地域理学療法学会学術大会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション

[PN] パネルディスカッション

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:50 PM Room1 (Terrsa hall)

地域包括ケア推進リーダー・介護予防推進リーダー実践活動
司会:関 恵美

[PN-01] 地域支援事業における神奈川県理学療法士会の役割と課題
~神奈川県内の理学療法士活動状況について~

*中田 裕1、久保木 あずみ1、大森 豊1、伊勢田 幸一1、山田 貴之1、前田 玲1、北田 一智1、町田 将一1、小田 眞知子1、小野 雅之1 (1. 公益社団法人神奈川県理学療法士会地域包括ケアシステム推進委員会)

Keywords:地域ケア個別会議、地域支援事業、介護予防事業

【はじめに・目的】
わが国では団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け『地域包括ケアシステムの構築』を急務とし各自治体での体制作りが急がれている。その際にリハビリテーション(以下リハビリ)専門職の活用が期待されているもののその実態に対する調査報告は少なく、神奈川県内における理学療法士の地域支援事業に対する活動状況についても不明である。そのため本研究の目的は神奈川県内における理学療法士の地域支援事業に対する活動状況把握を行い、公益社団法人(以下公社)神奈川県理学療法士会地域包括ケアシステム推進委員会としての課題を明確にすることである。
【方法】
対象は(公社)神奈川県理学療法士会が名簿管理を行っている県内病院施設とし、インターネットを用いた質問紙調査を行った。対象期間は2017年度中とし、調査内容としては介護予防事業と地域ケア個別会議に対して「依頼の有無」「理学療法士の派遣実績の有無」「派遣数」「派遣に至らなかった理由」の調査を行った。加えて(公社)神奈川県理学療法士会が提供している人材推薦の仕組みについて「仕組みの利用経験の有無」「利用に至らなかった理由」の調査を行った。
【結果】
アンケート回収率は32.8%(273/833)であった。介護予防事業に対する調査結果としては依頼の有無では依頼があると回答した病院施設は81であった。81の病院施設のうち71の病院施設で理学療法士を派遣した実績があった。71の病院施設中の理学療法士の派遣頻度は1~3回が最も多く次いで4~6回と10回以上が約25%となった。理学療法士を派遣するに至らなかった理由としては施設内業務の多忙と人員の不足で60%以上を占めており、次いで経営者の理解が得られてないという回答が約20%となった。
地域ケア個別会議に対する調査結果としては依頼があると回答した病院施設は53であった。53の病院施設のうち42の病院施設で理学療法士を派遣した実績があった。42の病院施設中の理学療法士の派遣頻度は1~3回が最も多く約75%となった。 人材推薦の仕組みに対する調査結果としては仕組みを利用したことがある病院施設は23病院施設であった。利用経験の無い250の病院施設のうち回答の得られた216の病院施設では人材推薦の仕組み自体を知らないという回答が約60%であり、次いで仕組みを利用する必要性がなかったと回答した病院施設が35%となった。 【結論】
本研究では神奈川県内の地域支援事業に対する理学療法士の活動状況として介護予防事業に対する依頼に比べ地域ケア個別会議に対する依頼が少ないことから地域ケア個別会議を運営している地域包括支援センターのリハビリ専門職に対する参加要請意識が低い傾向が推測された。人材推薦においては仕組み自体への認識不足もあり活用に至っていないことが推測された。今後は行政並びに地域包括支援センターに対しても調査を行い、引き続き実態把握を行っていく必要がある。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究を実施するにあたり(公社)神奈川県理学療法士会理事会にて研究・調査の目的、方法、個人情報等への配慮について説明の上承認を得ている。アンケート回答者に対する説明と同意に関してはアンケート調査依頼文に研究・調査の目的、結果については学会での報告を行うこと、回答者の個人・病院施設の情報が特定されてないよう配慮することを記載の上、自由意思による研究・調査への参加を依頼し、回答をもって調査への同意とみなした。