[ST] 学会ステートメント
地域理学療法学の構築に向けて
―地域理学療法学の定義と実践領域―
日本地域理学療法学会
日本地域理学療法学会は日本理学療法士協会の分科学会のひとつとして2013年度に発足し、現在まで5回の学術大会と2回のフォーラムを重ね、このたび第6回学術大会を迎えることとなった。
第1回学術大会からのメインテーマを「地域理学療法学の構築に向けて」とし継続的に議論を深めてきた。これまで計683演題の一般演題発表が行われ、講演やセミナー、シンポジウムも多数開催された。こうして集積した学術活動から生まれたのが今回、第6回学会において公表する地域理学療法学の定義(学会原案)である。
定義文は「地域理学療法学とは、動作や活動への多面的な働きかけにより人々が地域でのくらしを主体的につくりあげられるよう探究する学問」とした。また、この定義(学会原案)の公開にあわせて、地域理学療法学の実践を「個人―集団」という軸と「直接―間接」という軸を直交させた4つの領域に整理した。
地域理学療法学の定義と実践領域を明示することは日本地域理学療法学会にとって発足以来の課題であった。地域理学療法の歴史を紐解くと優れた学術活動が実践を支えてきた面と先駆的な実践が新たな学術活動の萌芽となってきた面が見受けられる。今回の定義(学会原案)も学術活動の発展と実践領域の拡充に応じて変えなければならない時代はすぐにやってくるかもしれない。
現在、地域包括ケアの時代を迎えて地域における理学療法士の実践領域は急速に拡充しつつあり、学術活動も目覚ましい発展を遂げている。会員諸氏からご意見をお寄せいただくことも含めて今回の定義(学会原案)の公表がこの流れを一層加速し力強いものとすることを願っている。