第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム

[SY] シンポジウム

2019年12月15日(日) 14:00 〜 15:50 第1会場 (テルサホール)

地域理学療法学のエビデンス
講師:松本大輔、岡前暁生、
   石垣智也
司会:池添冬芽

[SY-01] 地域在住高齢者に対するトレーニング効果のエビデンス

*松本 大輔1 (1. 畿央大学健康科学部理学療法学科・畿央大学ヘルスプロモーションセンター)

世界保健機関(World Health Organization)は世界的な高齢化に対し,2015年に初めて「高齢化と健康に関するワールド・レポート」1)を発表した.その中では,“Healthy ageing”には,高齢者は多様であることを理解することや身体機能を高く保ちながら生きられるような身体活動の促進や保健・医療・介護システムが必要であるとしている.このことから,“Healthy ageing”に我々理学療法士が果たす役割が大きいと考えられる.一方,専門職として,高齢者の心身機能等の維持・改善という成果(効果)が求められてくる.
近年,高齢者におけるトレーニングの効果について,シマティックレビューやメタアナリシスが盛んに行われ,ガイドライン等で明確に示されるようになってきた.Physical Activity Guidelines for Americans2)では,高齢者は筋力トレーニングや有酸素運動・バランストレーニングを含む多因子介入を推奨し,種々の疾患リスクや身体機能に合わせ安全に実施することの重要性を示している.より効果を示すために,これらのようなエビデンスについて理解し,目の前の患者・利用者への理学療法に活かすことができるかが重要になる.
今回は,地域在住高齢者における「筋力トレーニング」および「ウォーキング」の効果を中心に,エビデンスの整理と地域理学療法学会でガイドライン作成に向けて進めているシステマティックレビューで知り得た結果を一部紹介し,エビデンスをどのように解釈し,実践していくのかを議論したい.

1) World Health Organization. (2015). “World report on ageing and health 2015.”
https://www.who.int/ageing/events/world-report-2015-launch/en/(2019年8月28日アクセス)
2) Piercy, K. L., et al. (2018). "The Physical Activity Guidelines for Americans." JAMA 320(19): 2020-2028.