第15回全日本民医連看護介護活動研究交流集会

記念講演

記念講演
『私が大飯原発を止めた理由』 講師:樋口 英明 氏
 
<略歴>    
1952年生まれ。三重県出身。司法修習第35期。福岡・静岡・名古屋等の地裁・家裁等の判事補・判事を経て2006年4月より大阪高裁判事、2009年4月より名古屋地家裁半田支部長、2012年4月より福井地裁判事部総括判事を歴任。2017年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官。
2014年5月21日、関西電力大飯原発第3・4号機の運転差止めを命じる判決を下した。さらに2015年4月14日、原発周辺地域の住民ら9人の申し立てを認め、関西電力高浜原発第3・4号機の再稼働差止めの仮処分決定を出した。
2021年、著書「私が原発を止めた理由」(旬報社)で通称“樋口理論”を発表。
 
<主な著書>
 『私が原発を止めた理由』(旬報社、2021年)
◆「はじめに」より
2011年3月11日、福島第一原子力発電所で過酷事故が起きました。その時、福島第一原子力発電所で実際に何が起きていたのかをほとんどの人は知りません。時の経過とともに福島原発事故の深刻さが人々の意識の中から薄れていっているように思えます。福島原発事故から10年が経過しようとしていますが、あの事故から私たちは何を学ばなければならないのでしょうか。そのことを問い直したいのです。(略)
裁判官が退官後とはいえ、自分が関わった事件について、論評することはほとんどと言ってよいほどありません。論評することが法に触れるわけではありませんが、論評しないことは裁判所の伝統であることは間違いないのです。なぜ、私がその伝統を破ってまで、原発の話をしなければならないと思ったのか。それは、専門家でもない私の目から見ても、原発の危険性があまりにも明らかだったからです。そして、原発の危険性が専門知識のない素人目にも明らかだということくらい恐ろしいことはないのです。
原発や地震学についての詳しい知識は要りません。思い込みを持たずにものごとを素直に捉える目を持った高校生以上の方が、この本を読んでいただければ原発の危険性がどれくらい大きなものかお分かりになると思います。そして、その原発を止めるために何をしたらよいのかについて考えていきたいと思います。

<講演資料>