第11回 日本緩和医療薬学会年会

セッション情報

シンポジウム

[S-15] シンポジウム15 緩和ケアにおける臨床診療ガイドライン・EBMを活用した患者ケアの実践

2017年6月3日(土) 15:40 〜 17:40 第6会場 (204会議室)

オーガナイザー・座長:伊藤 武志 (関西電力病院 薬剤部), 座長:平井 みどり (神戸大学)

現在、国内外で緩和ケア領域の臨床診療ガイドライン(CPG)が公表され、医師同様薬剤師も、CPGを活用した患者ケアの実践が求められている。CPGは基本的にEvidence-Based-Medicine(EBM)に則り作成されており、CPGを活用し患者ケアを実践することは即ちEBMの実践に繋がる。つまり、CPGを活用するためにはEBMの実践が不可欠である。EBMとは患者の想いや価値観、医療従事者の経験、患者状態や医療環境、エビデンスの4つの要素を、全て考え合わせ統合し、医療における判断を行うツールである(Haynes RB ら2002年)。EBMの手法を用いて、医療を実践・循環することは、薬剤師にとって、良好な患者ケアを導くと考えられている(WHO/FIP,2006年)。本シンポジウムでは、初めに、CPG作成の流れ・EBMの実践についての概説を行う。CPGがどのように作成されているかを知ることで、薬剤師としてCPGでの推奨の意味合いや、その推奨を患者ケアの場面でどのように活用ができるのかを考える機会とし、また、EBMの実践方法について提示をする。次いで、症例シナリオを用いて、薬局薬剤師・病院薬剤師の実践について提示する。薬局薬剤師・病院薬剤師は患者と対応する場面・患者状態は異なるが、どちらの薬剤師も果たす役割が増え、薬剤師が専門的知識と経験を活かして、医療判断を下さなければならない難しいケースに遭遇する。その様な場面で薬剤師として適切な患者ケアを提供するためにはEBMの実践を行うほうが、より適したケアを実践できると考える。そして、その患者ケアに至るプロセスを、丁寧かつ循環して行っていくことが、重要である。最後に同症例シナリオを用いて、医師がどのようにEBMを活用し、緩和ケアを提供しているかを提示し、そのプロセスを薬剤師が知ることで、どのように医師と協働・連携をしていくことが患者ケアの充実につながるのかを考えたい。一連の発表を通し、薬剤師がどのようにEBMを活用した患者ケアを行うか、及び今後の課題について、探索する機会としたい。