The 11th Annual Meeting of Japanese Society for Pharmaceutical Palliative Care and Sciences

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シンポジウム

[S-18] シンポジウム18 緩和ケア医療の専門家がいない地域や施設の重症・難治患者に最善の薬学的知識を届けよう!: リモート・アシスタンスと薬薬連携による地域展開の紹介

Sun. Jun 4, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 第4会場 (中ホールB)

オーガナイザー・座長:吉本 鉄介 (JCHO中京病院 緩和支持治療科), 座長:塩川 満 (聖隷浜松病院 薬剤部)

がん患者の苦痛は、時に重篤化・治療困難となって「専門家のアドバイス」を要する状態となる。軽症も含め全がん患者の苦痛はすべて解放するべきであるが、医療過疎・医師不足が深刻で、必然的に緩和医療の専門家も不足している我が国の状況*を考慮すれば、我々緩和ケアに携わる医療者の優先課題は、重症・難治例を定期的にトリアージして、最善の医療――必要に応じて専門家からの情報提供が必須となる――で症状コントロールができるようなシステム作りである。
 だがニーズが高いにもかかわらず、システム作りや効果検証の報告は我が国では非常にまれである。同じ医療過疎に直面している欧米諸国、とくにカナダでは、①看護師が系統的に症状評価・トリアージを実施し、②無線電話やネット回線カンファ(TV会議)を通じた遠隔地からの専門家支援活動(リモートアシスタンス)を実施している。そこで我々はリモートアシスタンスを、青森県立中央病院(日本でもっとも医療過疎が深刻な県の、がん診療中心施設)の院内患者ニーズに答えるシステムを独自に構築し、その有用性を1年間の前向きAudit研究として検証し得た。
症状コントロールの主軸は薬物療法、中でも除痛では医療用麻薬が最重要である。このシンポジウムでは、必要性と目標を吉本より概説し、山下より、どうやってトリアージ患者を選択して外部専門家にコンサルトするかというノウハウを提示し、龍により「緩和ケア薬学情報」のうち、何を、どうやって使用するべきか?、を本学会の薬剤師の方々にお示しする。これは同じ趣旨のシステム作りと運営の参考となると期待できる。またTV会議以外の努力として、義永により医療過疎にある島嶼地域を担う県立奄美大島病院での薬薬連携での緩和薬学情報の普及・啓発活動を紹介してもらう。
* 吉本、ホスピタリスト2(4)、2014.