第11回 日本緩和医療薬学会年会

セッション情報

シンポジウム

[S-19] シンポジウム19 分子標的薬の適正使用と遺伝子診断において次世代薬剤師が果たすべき役割

2017年6月4日(日) 10:00 〜 12:00 第5会場 (小ホール)

オーガナイザー・座長:徳山 尚吾 (神戸学院大学薬学部臨床薬学研究室), 座長:葛巻 直子 (星薬科大学 薬理学教室)

種々の薬剤師業務の中で、医薬品の適正使用への関与は重要な役割の一つとなる。しかしながら、薬物の応答性あるいは感受性には個人差があり、適正使用の推進には遺伝子疾患の検証や薬効を事前に知るための遺伝子診断法の開発とその臨床応用が必須となる。特にがん治療では、その重要性が増すと考えられる。
 がん治療において、分子標的薬はがん細胞などの表面にあるたんぱく質や遺伝子をターゲットとして効率よく攻撃する薬物として注目されている。さらに、分子標的薬の応答性予測のための体細胞変異診断や副作用と遺伝子多型との関連性が遺伝子診断される様になってきた。遺伝子情報の利用は薬物治療のさらなる個別適正化を推進し、TDM の弱点を補完することで、処方に関する多くの情報を提供してくれる。現在、遺伝子情報に基づいた薬物投与において、薬剤師による服薬指導や患者の相談に応じる様になるなど、今後もさらなる薬剤師の積極的な参画が期待される。その一方で、薬剤師がこれらを実践するのに必要な免疫・遺伝学の基本の習得にも苦慮している実態もある。本シンポジウムでは、実践的免疫・遺伝学習得の重要性を再認識するとともに、これらを習得するためのヒントをはじめとして、次世代薬剤師としての臨床業務および研究への応用について皆で議論したい。
 本シンポジウムは今後の薬剤師の新たなる職能発揮において重要な位置付けにある話題を取り上げており、多くの薬剤師の皆様方の参加を期待したい。