The 11th Annual Meeting of Japanese Society for Pharmaceutical Palliative Care and Sciences

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シンポジウム

[S-5] シンポジウム5 悪液質のスマートマネジメント 〜いきいきと生きる方法を科学する〜

Sat. Jun 3, 2017 1:30 PM - 3:30 PM 第2会場 (特別会議場)

オーガナイザー・座長:川村 和美 (シップヘルスケアファーマシー東日本株式会社), 座長:東口 髙志 (藤田保健衛生大学 外科・緩和医療学講座)

急激な高齢化に伴って2010年のわが国の死亡者数は約120万人であるが、20~30年後には170万人に膨れ上がる。これに対してわが国の病床数は減少の一途をたどっている。要するに 「50万人の患者の命」 が路頭に迷うことになる。しかも、この+50万人の内、20万人ががんによる死亡であり、2035年にはがんによる死亡者数は総計50万人を越える計算となる。このような将来の危惧すべき事態に対する対策として、適正化した代謝栄養学的管理の推進と、超急性期、急性期、回復期、慢性期そして在宅医療ならびに介護・福祉におよぶ明確な医療・福祉・生活支援の一貫したシステム構築とそのグローバル化が必要不可欠である。そのためには、この50万人を越えるであろう膨大な数のがん患者、しかも高齢者でもある一人一人が、いきいきと生ききれるような基盤づくりが大切であり、その可否が、将来わが国が幸せな国・日本として胸を張れるか否かの鍵を握っている。この基盤作りという見地から、2013年より継続的に企画させていただいているこの悪液質シリーズは、がん患者の代謝変動や病態の推移、そしてその対策について様々な角度から検討し、提言を発してきた。特に、がん悪液質に関する病態生理を基礎から臨床へと解析し、そしてその対策を代謝栄養学的立場だけでなく、地域医療を含め多方面から討論を展開してきた。この間に得られた新たな知見は国内外を通してめざましく増加しており、がんの終末期に至る生体の変化は、以前と比べて明らかに可視化され、明瞭化されてきている。しかし、私たちが最後の最後まで「いきいきと生ききれる方法」は未だ暗中模索の中にあり、さらに進んだ悪液質の本質的な解析とより良い制御法の発見はその中核を担うものと言っても過言ではない。今回は、悪液質に対するスマートなマネージメントをご提案いただきながら、いきいきと生ききるための方法論を科学的・医学的に追求してみたいと思う。

川元 美穂子1,2,3, 網谷 真理恵1,2,3, 網谷 東方1,2, 福元 崇真1,3, 川津 優1,4, 浅川 明弘1, 乾 明夫1 (1.鹿児島大学病院 心身医療科, 2.社会福祉法人義順顕彰会種子島医療センター 心療内科, 3.医療法人聖心会かごしま高岡病院 心療内科, 4.県民健康プラザ鹿屋医療センター 外来担当)