実行委員長挨拶
第27回
地下水・土壌汚染とその防止対策に関する
研究集会開催にあたって
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第27回 実行委員長(公益社団法人 日本地下水学会)中島 誠国際航業株式会社 フェロー |
第27回を迎えた本研究集会を2022年6月23日・24日に横須賀市文化会館にて開催いたします。新型コロナウイルス感染症の発生状況によってはオンライン開催への変更の可能性もありますことにご理解をお願いいたします。
本研究集会は、地盤工学会、日本地下水学会、日本水環境学会、廃棄物資源循環学会、土壌環境センターが共催して開催しております。第27回の幹事学会を日本地下水学会が担当するにあたり、学会を代表して実行委員長を仰せつかりました。多数の学協会ならびに開催自治体にご後援いただきますことに感謝申し上げます。
本研究集会は1991年に京都で第1回が開催されてから、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催となった前回(第26回)を除き、全国各地で開催されてきました。地下水・土壌汚染対策に係わる多くの技術者や研究者が一堂に会し、活発に意見や情報を交換する貴重な場となっております。今回も、新型コロナウイルスへの感染予防を図りながら、活発に意見や情報を交換していただける場を実現したいと考えております。
本研究集会が回を重ねる間のわが国における地下水・土壌汚染への対応を振り返ると、地下水汚染や土壌汚染のメカニズムや調査・評価・対策に係わる研究および技術開発が盛んに行われ、それらの成果は地下水・土壌汚染サイトで生じている問題の解決に大きく寄与するとともに、水質汚濁防止法や土壌汚染対策法等における技術的事項等の整備にも取り入れられてきました。人の健康被害のおそれがない状態となるよう対策し、その状態が維持されるよう地下水や土壌の汚染を管理していくというリスクベースの考え方もかなり社会に根付いてきたのではないかと思います。今後は、安全が確保された状態で地下水・土壌環境が維持されるよう、平常時はもとより、災害時も含めて、汚染された土壌や地下水の状態や移動を長期的にマネジメントし、トレーサビリティ―を確保していくことが大きな課題になってくるのではないかと推測します。また、地下水に注目すると、健全な水循環の維持又は回復を目指して2014年に水循環基本法が施行され、2021年6月の一部改正で水循環に関する施策に「地下水の適正な保全及び利用」が含まれていることが明文化されました。人の飲用等に供しないものも含め、国民共有の財産である地下水を将来にわたり利用可能な状態で適正に保全していくことが求められています。1,4-ジオキサンやPFOS/PFOA等、新たな化学物質による地下水・土壌汚染の顕在化による問題への対応等を含め、研究や技術開発の対象とすべきテーマはまだ多く存在していると思われます。
本研究集会が参加者の方々の日々の研究や技術開発の成果についての活発な情報・意見の交換の場となり、今後の研究や業務に役立てていただけることを祈念いたします。
