日本放射線技術学会 近畿支部 第61回学術大会

講演情報

一般演題

核医学②

2018年1月21日(日) 14:30 〜 15:20 第3会場 (3階 孔雀の間(西))

座長:川口 弘之(住友病院)、川瀬 滋人(京都大学医学部附属病院)

14:30 〜 14:40

[61] 心筋血流SPECTにおける呼吸同期の有用性について

*中野 知己1、小川 哲也1、西村 努1、池口 俊孝1、左向 達也1、三輪 和彦1、北本 正和1、中前 光弘1 (1. 奈良県立医科大学附属病院)

【目的】心筋血流SPECTの撮像において,画像は横隔膜に接する心臓の呼吸による移動性アーチファクトによって劣化する.そこで,その対策に呼吸同期システムが有用であるか検討する.

【方法】心筋ファントムRH-2型(京都科学)を周期運動する可動台ET GATING PHANTOM(BRAINLAB)に設置し,移動距離を0(静止下),1,1.5,2cmと変化させ,呼吸同期の有無で撮像を行った.収集条件は,360度収集,ステップ角6度,非円軌道収集とした.なお,心筋ファントムには左室心筋に37MBq,右室に3.7MBqの99mTcを封入し,呼吸同期システムはRespiratory Gating System AZ-733V(安西メディカル)を使用した.得られた短軸断層像にて心内腔中央を直交する十字のプロファイルカーブを作成し,心筋壁の半値幅を求めた.またQuantitative Perfusion SPECT(QPS)にて解析を行った.

【結果】移動距離の影響は,呼吸同期なしで側壁・中隔に比べ前壁・下壁で大きく,特に呼吸同期ありによって前壁・下壁の半値幅に改善が見られた.QPSでは,心内腔容量が移動距離0で161ml,1cm同期なし/ありで153ml/160ml,1.5cm同期なし/ありで150ml/156ml,2cm同期なし/ありで147ml/153mlとなった.移動量が大きくなれば容量が小さくなり,同期によって改善されるが,移動量が大きいと静止下の容量まで改善できなかった.

【結語】心筋血流SPECTにおいて,呼吸による移動性アーチファクトの低減に,呼吸同期システムが有用であった.