9:30 AM - 10:30 AM
[EL-1] 体幹部における拡散強調画像の基礎 ―装置間による違いを踏まえてー
MRI(Magnetic Resonance Imaging)は体内の水素原子核(プロトン)スピンの分布,挙動を画像化している.撮像時間が長い,検査時の不快感(騒音、閉所),MR禁忌の患者がいるといった欠点がある一方で,被曝がない,様々な断面やコントラストの画像を取得することが可能といった大きな利点がある.臨床ではT1,T2,FLAIR,非造影MRA(TOFにMRAなど),DWI(Diffusion Weighted Image),など様々なコントラストの画像が撮像されているが,とりわけDWI (拡散強調画像)は比較的短時間で撮像でき,病変部とのコントラストの高い画像を提供することができる.さらに組織の拡散を反映するADC(Apparent Diffusion Coefficient)値は腫瘍の悪性度と関連するといわれ,定量値として用いられている.このように臨床で有用なDWIであるが,他の撮像シーケンスと比較して,画質の劣化をきたしやすく,撮像の際に様々な工夫が必要となる.今回の講演では,まず拡散の基礎を解説する.次に体幹部,特に腹部骨盤領域における撮像方法,工夫について解説するとともに,各メーカーのDWIを比較し,その特徴について述べたいと思う.
まず,MRIで扱う拡散とは水分子の自己拡散であり,ある一定時間(拡散時間)の間に動いたプロトンの変位量を位相の変化としてとらえる.位相の変化が大きいほど,すなわち拡散が大きいほどMR信号の低下をきたすため,拡散が制限された領域は結果的に高信号を示すことになる.拡散をどれだけ画像コントラストに反映させるかは,オペレーターが設定するb値によって決まるため適切な設定が必要となる.また非常に短い時間で起こる拡散現象をとらえるため,高速の撮像が必要となり,現在ではEPI(Echo Planner Imaging)を用いた撮像が主流になっている.しかしEPIにはその原理に起因する画像の歪みや,アーチファクトがあり対策が必須である.MRIにおける拡散の基礎と各アーチファクトとその対策について解説したい.
腹部骨盤領域のDWIは頭部領域と比べて呼吸などの生理的な動きが多く,その動きをできる限り抑制した撮像方法が必要となる.さらに脂肪が多い領域であるため,均一な脂肪抑制技術が求められるが,各種脂肪抑制方法には一長一短があり,またメーカーによって異なっている.DWIはケミカルシフトアーチファクト対策のため脂肪抑制が必須であるが,腹部骨盤領域は頭部領域と比較して,脂肪の信号寄与が大きくなり背景信号抑制効果が強くなるためSNの低下が懸念される.そのため可能な限りSNを担保し,かつ歪みの少ない撮像パラメーターの設定を考える必要がある.今回は,おのおののパラメーターの画像に対する影響,さらに各メーカーの撮像画像を比較し,その特徴を述べたい.
より歪みの少なく,よりSNの良いDWIを撮像するために様々な工夫や対策が考えられるが,今回の私の講演した内容が,MRIの臨床に携わる方々に少しでも役に立っていただけたなら幸いである.
まず,MRIで扱う拡散とは水分子の自己拡散であり,ある一定時間(拡散時間)の間に動いたプロトンの変位量を位相の変化としてとらえる.位相の変化が大きいほど,すなわち拡散が大きいほどMR信号の低下をきたすため,拡散が制限された領域は結果的に高信号を示すことになる.拡散をどれだけ画像コントラストに反映させるかは,オペレーターが設定するb値によって決まるため適切な設定が必要となる.また非常に短い時間で起こる拡散現象をとらえるため,高速の撮像が必要となり,現在ではEPI(Echo Planner Imaging)を用いた撮像が主流になっている.しかしEPIにはその原理に起因する画像の歪みや,アーチファクトがあり対策が必須である.MRIにおける拡散の基礎と各アーチファクトとその対策について解説したい.
腹部骨盤領域のDWIは頭部領域と比べて呼吸などの生理的な動きが多く,その動きをできる限り抑制した撮像方法が必要となる.さらに脂肪が多い領域であるため,均一な脂肪抑制技術が求められるが,各種脂肪抑制方法には一長一短があり,またメーカーによって異なっている.DWIはケミカルシフトアーチファクト対策のため脂肪抑制が必須であるが,腹部骨盤領域は頭部領域と比較して,脂肪の信号寄与が大きくなり背景信号抑制効果が強くなるためSNの低下が懸念される.そのため可能な限りSNを担保し,かつ歪みの少ない撮像パラメーターの設定を考える必要がある.今回は,おのおののパラメーターの画像に対する影響,さらに各メーカーの撮像画像を比較し,その特徴を述べたい.
より歪みの少なく,よりSNの良いDWIを撮像するために様々な工夫や対策が考えられるが,今回の私の講演した内容が,MRIの臨床に携わる方々に少しでも役に立っていただけたなら幸いである.