Japanese society of radiological technology kinki branch

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Freshers' Seminar

Education Lecture

Sun. Jan 21, 2018 9:30 AM - 10:30 AM Room3 (3F)

座長:樫山 和幸(大阪急性期・総合医療センター)

9:30 AM - 10:30 AM

[EL-3] 研究を始めよう

*西出 裕子1 (1. 岐阜医療科学大学 保健科学部放射線技術学科 )

「研究とは何か」とか「なぜ研究をするのか」ということは,人によってさまざまだとは思いますが,よく言われるのは,“研究とは新しい知識を見つける努力”で,確かに明確な答えだと思います.だとすると,「わかっていないことを明らかにする」ことが研究で,「それを社会に役立てる」ということが,研究の目的になると思います.そのためには,多くのこと(努力)が必要になります.
 まず,「知的好奇心」や「問題意識を持つ」ということでしょうか.技術学会の会員の多くが,臨床で診療放射線技師として働いていますが,どのような環境であっても,自分が担当している業務または検査において何かしら問題や疑問があり,それを解決したいと考えます.どんなテーマがあるか,それは様々です.放射線関連であっても,装置や受像器,画質や線量,撮影技術,などがありますが,できれば,まだ誰もやったことが無くて,将来,とても役に立つようなことが良いと思います.
 テーマが見つかったら,研究をデザインします.「デザインする」というのは,今回の研究では何をどこまで明らかにするのか,というゴールを決めて,手法や研究道具などを選択するという研究の立案になります.そして,明らかにするにはどのようなデータが必要なのかを考えることです.そのために必要なのが,先行研究の調査です.過去に同じような研究がないか,似たような方法を使った研究がないか文献検索します.文献を読むことによって多くの知識を得ることができますし,何がわかっていて何がわかっていないのか知ることができます.もしかしたら,すでに解決策は見つかっていて,さらに新しい疑問が生まれるかもしれません.
 この研究立案過程を経て,ようやく実験に取り掛かることができます.研究立案過程をあやふやにして実験を始めてしまうと,新しい疑問や課題に遭遇して何を明らかにしたかったのかがわからなくなってしまいます.
 実験は,出来れば短い期間で終わりたいし,すぐに良い結果が出ると良いと私もいつも思います.しかし、はじめから苦労知らずの人はいないはずで,ある程度は試行錯誤になるかもしれません.共同研究者と得られた結果について議論したり,その結果の意味するところを考えたり,ということを繰り返していくことが大事です.その過程は決して無駄にならないと思います.
 また学会や研究会に参加する,ことをお勧めします.学会には「情報があふれている」「いろいろな研究者とコミュニケーションを取ることができる」というメリットがあります.知らなかったことを知ることはとても楽しいことですし,学会を通して研究仲間ができたり議論し合える場ができたりします.その中で,何かヒントがもらえたり,新たな発想が生まれたりするかもしれません.
 研究を「始める」あるいは「やり続ける」のは,やはりモチベーションが必要です.そして,あきらめないことです.誰もが環境に恵まれているわけではありませんし,そんなにいいことがあるわけではないかもしれません.でも,誰かにほめてもらったり,賞をもらったり,出張で海外に行けたり・・・
 最後に,若い方へのメッセージですが,「初めからうまくいくとは限らない」です.あきらめないことが大事ですが,やっぱり努力は必要です.当日は,もう少し具体的にお話しさせていただきます.