ご挨拶
守るもの・変わるもの
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第41回近畿作業療法学会 学会長齋藤 嘉子(介護老人保健施設 茶山のさと) |
41年前、作業療法の世界がどのようなものだったのか想像してみてください。変えようとしたもの、守ろうとしたものは、一体何だったのでしょうか。わたしたちを取り巻く環境は大きな変化を迎えています。マスク着用、ソーシャルディスタンス、テレワークなど、職場も個人生活も変化しました。QOLや価値観が人それぞれ多様であることが露わになったといえます。今後の変化は予測できませんが、変化を止めることもできません。わたしたちは、これからどのように生きていくのか、考えることが増えました。これは同時に、どのように作業療法を行うか、の問いでもあります。
リハビリテーション医療・介護の特徴として、個別性が挙げられます。個人によって状況が異なるだけでなく、ものの見方や感情も違います。障害も昔と比べて詳細な分類になりました。私たち自身も、考え方や目指す方向が個人によって違います。時間経過にともなう緩やかな変化と、COVID-19による強制的変化により、支援内容の多様化も加速しました。これらの状況をふまえ、本学会テーマを「ダイバーシティ(多様性)」としました。ともに働く人たちも一緒に、多様化する社会で、何をどのように変えていくのか、あらためて考える機会にするためです。
遠隔地の方、子育てや介護中の方、病気で参加を躊躇されていた方、異業種の方など、幅広くお越しいただけるよう工夫して企画しております。オンラインの特性を生かして、いつ、どこから、どなたでも、個別事情にあわせて視聴方法をご選択ください。動画公開もできるだけ長期とし、双方向や交流など複数の形式でセッションをご提供する予定です。講師も様々な専門分野からお越しいただき、さらにこれまで関係の薄かった異業種の方々にも講演いただくことで、自分とは違う視点があることに気づき、視野を広げることができると信じています。
京都は伝統と革新が共存するダイバーシティの都です。守りながら変わってきた、変わることで守ってきた文化があります。ここから始めるオンライン学会で、次の変化へと紡いでいきましょう。
