The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム1

Sat. Sep 25, 2021 12:30 PM - 2:00 PM No.1 site (ZOOM)

座長:杉浦 正人(関西医科大学香里病院 腎臓病センター医用工学室)、藤本 義造(奈良県総合医療センター 臨床工学部)

12:30 PM - 12:40 PM

[SY1-1] 成熟期における新たなる業務への挑戦 〜気管支鏡業務の確立〜

*井口 新一1 (1. 医仁会武田総合病院 臨床工学科)

はじめに
 本年5月、医師の働き方改革に資するタスク・シフト/シェアを推進する観点から、臨床工学技士法が改正され、新たな業務範囲が追加された。しかし、法律上業務拡大がなされたとしても各自施設において当該業務を臨床工学技士がすぐに担うことは技術的な観点や立場、そして他職種との関係性から容易ではないことが推察される。そこで、我々が成熟期において新たな業務を確立した経験を元に、黎明期から戦ってこられた先輩臨床工学技士の知恵や経験を借り、このタスク・シフト/シェアを成功させるための議論をしたい。

内視鏡検査への関わり
 当院では、消化器内視鏡検査に臨床工学技士が20年以上前から従事している。業務は、内視鏡システムやスコープ、電気メスなどの購入から廃棄までの機器管理。スコープの洗浄・消毒。そして検査及び治療の介助である。夜間緊急対応は当直者と待機者が対応をするようにしている。消化器内視鏡検査では必ず臨床工学技士が1名は従事しているが、気管支鏡検査はスコープの洗浄・消毒こそ行なっていたが、医療機器の一元管理を含め、十分な関わりではなかった。

業務参入の経緯と確立
 以前は診療科ごとに内視鏡システムを所持し、修理対応も各科で行なっていた。それらを一元管理、内視鏡システムの共有化により購入・管理コストを削減するため、2018年から臨床工学科による機器管理を開始した。我々スタッフとしては消化器内視鏡業務のように携わりたいという思いがあったため、気管支鏡検査への理解を深めていった。そして約一年後に検査の立ち会い依頼があり、機器の使用前・中・後点検、電気メスや超音波内視鏡システムの操作など専任業務として開始することとなった。このように段階的に参入を行なった。

成熟期の業務拡大
 成熟期では、他業務での関わりからさまざまな診療科、看護部や事務部など、他部門との信頼関係がある程度構築できている。そのため、新たな業務への参入障壁は黎明期ほど高くないと考える。しかし、この参入により信頼関係が破綻すると他の業務への影響も大きく、一度業務として行うのであれば、その後縮小や放棄をすることはできないという思いで慎重に行うことが重要である。

おわりに
 臨床工学技士の所属する部署が院内において成熟期であれば、新たな業務を確立する上で、人員の確保など周到な準備を行い参入するか、段階的に参入することが望ましいと考えられる。