第27回近畿臨床工学会

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シンポジウム1

2021年9月25日(土) 12:30 〜 14:00 第1会場 (ZOOM)

座長:杉浦 正人(関西医科大学香里病院 腎臓病センター医用工学室)、藤本 義造(奈良県総合医療センター 臨床工学部)

12:50 〜 13:00

[SY1-3] 業務立ち上げからさらなる挑戦

*加藤 博史1,2 (1. 神戸大学医学部附属病院 臨床工学部、2. 神戸大学未来医工学研究開発センター 周辺機器開発部門)

【はじめに】
1991年大阪ハイテクノロジー専門学校 臨床工学科を卒業し、福岡県久留米市にある「社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院」に就職した。人工心肺業務を希望して就職したものの、中途採用の先輩が担当となり人工心肺業務担当にはなれなかった。しかし、当時としては驚異的に確立された業務と多くの同期に恵まれ仕事もプライベートも充実した3年間送ることができた。その後、母の他界を機に帰郷することとなり1994年西神戸医療センターのオープニングスタッフとして採用された。
【現場から管理へ】
西神戸医療センター開設時の臨床工学技士は2名だった。4年目の私と新人で500床の2次救急医療機関を立ち上げるという無謀な計画だった。翌年1月に阪神淡路大震災が発生し業務量が増加したことを機に2名の増員が行えたが、その後の増員はなかなか承認されなかった。反骨心から10年後に10人以上の独立した部門となり、高度医療は臨床工学技士がいないと実施できない体制を構築し「臨床工学技士が必要」と病院長に言わせる!と心に誓った。その後は業務拡張によるオーバーワークを継続しながら増員を続けたが、その実現には15年を要した。この頃には開院以来好調だった経営も環境の変化により悪化していたため自院の経営改善に貢献するため、2009年に兵庫県立大学MBAの門をたたいた。大学院で学んだ病院経営の知識やスキル、人脈はその後の人生において大いに役立った。一方で自院において臨床工学技士として自分の代で可能なことはある程度完結したと感じ、今後の変革には自分自身の存在が邪魔なのではないかとも感じ始めていた。この間、透析室業務、ICU業務、病棟呼吸業務、手術室業務、カテ室業務、内視鏡業務、外来業務(無呼吸・ペースメーカー)RST業務などの業務を部門として立ち上げ臨床工学技士は16名、医療機器管理の委託業務は3名を要する部門となった。
【新しい挑戦】
2017年市民病院機構に経営統合されたことを機に「新しい挑戦」について考えていた。その際、神戸大学医学部附属病院 臨床工学技士長の公募があり、縁あってお世話になることが決まった。2018年6月の着任後、臨床工学部の運営に取り組む傍ら、未来医工学研究開発センター周辺機器開発部門の副部門長を拝命した。今後は医工融合型の研究科(医療機器開発を目的とした大学院)、同学部の開設にも参加する予定となっている。
現在53歳(学会当日)、残された時間は12年程度かもしれない。この時間で可能な限り新しい分野において臨床工学技士の価値を高め、臨床工学技士の可能性を広げたい。