The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム

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シンポジウム1

Sat. Sep 25, 2021 12:30 PM - 2:00 PM No.1 site (ZOOM)

座長:杉浦 正人(関西医科大学香里病院 腎臓病センター医用工学室)、藤本 義造(奈良県総合医療センター 臨床工学部)

1:00 PM - 1:10 PM

[SY1-4] 黎明期の自身の葛藤、挑戦、そして期待

*八木 克史1 (1. 京都府立公立大学法人 京都府立医科大学付属病院 がんゲノム医療センター)

はじめに
私は理工学部電子科出身で航空管制官か海洋国際通信士を目指すも、1980年に就職した新設医学部附属病院で8年間、無資格で葛藤する暗黒時代を経験した。特例移行措置下でCE資格取得後の90年に滋賀県の公立病院から、また2008年に現病院からCE業務確立と組織設立の依頼を受け、苦汁を飲みつつも何とか実現し、また全国の数施設への部門設立と業務確立の手伝いも経験した。今回、私の拙い経験が若い皆様への業務確立の一助になればと思い報告する。

業務への葛藤
 医療行為で“技術的には出来るが、絶対にやってはいけない”ことは医師法をはじめとする法律の中で明確に定められている。CE法制定以来、我々の業務範疇は「業務別業務指針」で有識者の技士によりリフレッシュされている。
「医師以外人間にあらず」として強権的に押し通す先生もおり、現場からの業務改善要求があった場合に、ずかずかと医局や教授室、看護管理部、医療安全管理部に押しかける悪いクセがいまだにある。そこでは議論の摺合せ、患者安全の確認と対策、若手医師への教育、医師の業務軽減や補助することを約束し、業務指針の各項目について葛藤しながら早い段階で取得してきた。大切なことは改革した業務のPDCA、交渉先との忌憚のない意見交換、人脈構築、迷いから確信へ、そして勉強と修練することである。

CE法改正に関しての期待
 私の人材育成のポリシーは「飲んで(コミュニケーション)、歌って(自己表現)、踊れる(卓越した技術)技士」である。働き方改革に準じた改正臨床工学技士法が2021年5月に公布され、医師の負担軽減につながるかは別としてCEの業務カテゴリーを拡大していくことは良いことだと考える。私が経験してきた無資格暗黒時代は、医学・医療技術教育も受けずに、とても文章に残せない臨床業務を行っていた(当日報告)。この改正に乗じて止血技術、除細動治療、内視鏡映像関連のトレーニングも行いCEのやりがいを実感して欲しいと考える。

挑戦
定年以降、全く異質の業務を預かり、がんの原因となる変異遺伝子の解析確認とその遺伝子に適応する治験を擦り合わせる最先端の「がんゲノムパネルプロファイリング」と格闘している。がんの終末期の患者と日々関わり、一人でも多くの患者に治療効果の高い治療法選択の模索、さらにがんゲノム拠点病院の取得作業に立ち向かっている。葛藤と挑戦はまだまだ続く。