The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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特別講演

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特別講演1

Sat. Sep 25, 2021 2:20 PM - 3:20 PM No.1 site (ZOOM)

座長:村中 秀樹(阪南市民病院 管理部)

2:20 PM - 3:20 PM

[特別講演1] 医師の働き方改革に伴う法令改正によるタスク・シフト/シェアを推進する業務に関わる告示研修について

*本間 崇1 (1. 公益社団法人日本臨床工学技士会 理事長)

医療現場では、人口動態の変化及び医学の進歩と相まって、高齢化が進行し患者の社会的・心理的観点及び生活への十分な配慮が必要となっている。これらに対処するためには、医師、看護師、臨床工学技士等の医療従事者による更なる「チーム医療」の推進が求められている。
また、わが国では、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、働き方ニーズの多様化などに直面している。大企業を中心に2019年4月から、働き方改革法が順次適応開始になり時間外労働の削減も示されている。こうした中、医療界においても同様であり、医師に見られる長時間労働が問題視されていた。これらを踏まえ、厚生労働省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」で討議が重ねられた。その中で、医師の負担軽減対策の一つとして、必ずしも医師でなくても可能な業務を他の医療職に移管する「タスク・シフト/シェア」が議論され、各医療専門職団体からも移管可能な業務が提起された。医療は多職種の連携によるチームで提供されるものである。患者へのきめ細かなケアによる質の向上と医療従事者の負担軽減による効率的な医療提供を進めるためには、各職種によるチーム医療を一層進めることが必須となる。
2021年5月21日に医師の働き方改革に伴う関連法案が成立し、10月1日から臨床工学技士においても、以下の6業務(一部抜粋)が就業可能となった。
1)輸液ポンプ・シリンジポンプに接続するために静脈路を確保し、それらに接続する行為
2)輸液ポンプやシリンジポンプを用いて薬剤を投与する行為
3)輸液ポンプ・シリンジポンプに接続された静脈路を抜針及び止血する行為
4)血液浄化装置の穿刺針その他の先端部の動脈表在化への接続又は動脈表在化からの除去
5)心・血管カテーテル治療において、身体に電気的負荷を与えるために、当該負荷装置を操作する行為
6)体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラを保持する行為、術野視野を確保するために内視鏡用ビデオカメラを操作する行為
これら6業務が就業可能であるが、この業務を行うには、「厚生労働大臣が指定する告示研修(当会が実施)」の受講が必須となる。すなわち、これらの診療の補助は、この研修を受講しなければ新たに追加される業務を行うことができず、行った場合には無資格として扱われるので必ず受講することが求められる。臨床工学技士法が施行され、34年が経過したが、この改正は、われわれ臨床工学技士にとって、大きな業務拡大に繋がったと考える。