The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム4

Sat. Sep 25, 2021 12:30 PM - 2:00 PM No.3 site (ZOOM)

座長:熊山 義久(大阪医専)、福井 隆一(昭生病院)

12:50 PM - 1:00 PM

[SY4-3] 在宅血液透析の可能性 ~現状に鑑みる今後の展望~

*中澤 弘貴1 (1. 医療法人社団 富田クリニック)

透析施設で週3回、4~5時間の血液透析を受けている患者の生命予後や健康寿命は健常人に比べると短いということはよく知られており、その要因として血液透析での尿毒素除去が健常な腎臓に比べ不十分ということが挙げられています。改善するためには長時間(6時間以上)または頻回(週5回以上)の血液透析が必要とされ、Hemo Dialysis Product(HDP)70以上が良いとされています。長時間の血液透析はオーバーナイト透析を行っている施設で可能ですが、その施設は全国でも数少なく、頻回透析は保険請求上の回数上限が定められており、こちらも実施している施設は多くないと思われます。
これら施設透析の弱点をカバーできる治療法として在宅透析があります。
在宅血液透析(HHD)は、自宅に個人用透析装置を設置し血液透析を行う治療法です。自宅で血液透析を行うことで、自分のライフスタイルに合わせた透析時間・回数が選択でます。これにより長時間透析や頻回透析を容易に行うことができ、生命予後の改善や健康寿命の延長などを計ることができます。
さらなる利点として、新型コロナウイルス感染症が蔓延する現在、透析施設に通院せず自宅で透析を施行することで羅漢するリスクを低減することができます。欧米ではこれを目的としたHHDの需要が伸びているとの報告もあります。
このようにいいこと尽くめの治療法であるHHDなのですが、日本における人工透析患者数が2019年末時点で34万人を超えるなか、HHD患者数は760人と全体の0.2%程度に留まっています。
この原因として、自己穿刺をしなければならないことやスタッフ不在での透析施行に対する不安、光熱費の自己負担が発生することなどの患者自身のデメリットが大きく関係していると考えられています。
また、血液透析分野では世界を牽引している日本ですが、HHDが発展している諸外国に比べ、管理施設の地域集中や簡易な専用透析装置が存在しないこと、介助者が必ず必要であり1人では施行できないこと、旅行時には旅行先で施設透析を受けなければならないことなど、HHDの管理体制においては遅れを取っていることもその患者数が伸び悩んでいる原因の一因と考えることができます。
日本のHHDはまだまだ進展する余白があると言えます。このセッションではこれら問題点に鑑み、今後のHHDの展望を語りたいと思います。