The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

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循環器①

座長:中野 克哉(神戸大学医学部附属病院 臨床工学部)、清水 好(関西医科大学総合医療センター 臨床工学センター)

[05-01] ヘパリン抵抗性患者に対する体外循環の経験

*楓井 翔己1、亀井 理生1、木村 優友1、﨑 健祐1、桑原 大輝1 (1. 奈良県総合医療センター 臨床工学技術部)

はじめに
今回,人工心肺開始前のヘパリン投与及びアンチトロンビンⅢ製剤投与でも活性化全血凝固時間(以下ACT)の延長が得られず,メシル酸ナファモスタットを使用して人工心肺管理を行った症例を経験したので報告する.

術中経過
60歳の男性で、身長165cm,体重63kg.感染性心内膜炎に起因する僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁置換術を施行した.手術前血液検査で,ヘモグロビン8.2g/dL,ヘマトクリット26.0%と貧血が認められ,またAPTT43.9秒と延長,CRPは10.3mg/dLと高値であった.
手術開始前のACTは130秒で,院内プロトコル通りヘパリン300単位/kgを投与した.しかしヘパリン投与後のACTは338秒と充分な延長は認めなかった.そのため,アンチトロンビンⅢ製剤を1500単位,ヘパリンを9000単位追加投与したがACTは393秒であった.この時点でヘパリンに対して抵抗性があると判断し,麻酔科医師と対応を協議してメシル酸ナファモスタットを併用する方針となった.人工心肺中はシリンジポンプを使用して脱血回路からメシル酸ナファモスタットを100mg/Hで持続投与した.また,通常はACT測定を30分毎に行っているが,15分毎に測定することとした.人工心肺時間108分,心停止時間77分でACT値は437秒,460秒,420秒,457秒,455秒,471秒であった.人工心肺中,回路内圧上昇や酸素加能の低下は見られず,問題なく離脱することができた.プロタミン投与後のACTは97秒で,特に問題なく手術終了となった.

まとめ
ヘパリンに抵抗性があると考えられた症例に対して,ヘパリンとメシル酸ナファモスタットの併用で手術を施行することができた.この症例を経験して,ヘパリン以外の抗凝固剤を使用する人工心肺管理マニュアルを作成し,心臓血管外科医,麻酔科医,看護師と共有した.マニュアル作成後には経験していないが,類似症例の手術時には,マニュアルを活用し安全に手術が行えるように努めたい.