The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

Presentation information

一般演題

オンデマンド配信(一般演題) » 循環器

循環器①

座長:中野 克哉(神戸大学医学部附属病院 臨床工学部)、清水 好(関西医科大学総合医療センター 臨床工学センター)

[05-03] 日本国内未承認のペースメーカ装着患者の対応について苦慮した一例

*吉川 誠人1、吉村 豊1、樋口 貴文2、森下 真次3 (1. 阪奈中央病院 臨床工学室、2. 阪奈中央病院 循環器内科、3. 阪奈中央病院 脳神経内科)

【はじめに】
 日本国内未承認のペースメーカ装着患者の対応について苦慮した一例を経験したので報告する。

【症例・経過】
 91歳男性。81歳から10年間、台湾にて生活。現病歴は慢性心房細動・慢性腎不全・高血圧症。2016年4月洞不全症候群のためペースメーカ植込術、2019年12月ラクナ梗塞、2020年1月帰国。同月末、重介護のためリハビリテーション目的として当院入院。
 患者と家族は病院名、医師名、植込日、Medtronic Device:EN1DR01 RA:5076 RV:5076と記されたカードを携帯しており詳細は不明。
 現状把握のためにチェックを行いたいが「医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に抵触するため様々な問題が浮上した。
 第144病日、ペースメーカチェック施行。第156病日、転院。

【結果】
 患者家族に日本Medtronic社コールセンターから台湾Medtronic、台湾の病院に設定と最終チェック日を問い合わせし、VVIR(50-130ppm)、出力1.0V、電池寿命6.5年、最終チェックは2019年12月という事が分かった。
 詳細な設定を知りたかったが「未承認の為、情報が無く、何が起こるか分からない」とメーカーから情報提供を受けたためチェックは見送った。後日、「上記の様な不具合は起こらない」とメーカーから情報を得たので、転院2週間前にペースメーカチェックを行い、問題なく終える事が出来た。

【まとめ】
 他社に同様の経験の有無を問い合わせした所、経験は無いがフォローはするとの事だった。
 海外渡航者が医療行為を受ける際、心臓植込み型デバイス(CIEDs)装着は障壁となる事が考えられる。現行法では違法行為にあたるが人道的観点から医療行為の介入が求められる。国内と同様の医療が受けられるようにガイドライン作成・法整備が急務と考えられる。