The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

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COVID-19②

座長:紙崎 絢(京都大学医学部附属病院 医療器材部)、楠本 繁崇(大阪大学医学部附属病院)

[10-01] ネーザルハイフロー使用患者の転院搬送の経験

*長岡 俊治1、外嶋 彩香1、清水 一茂1、橋本 武昌1、小林 靖雄1 (1. 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 臨床工学部)

【緒言】当院にてネーザルハイフロー(以下NHF)を導入された新型コロナウイルス感染患者を約20㎞離れた他院への転院搬送を経験したので,今後の課題も含めて報告する.

【背景・経過】患者はNHFを酸素濃度50%,流量40L/分で導入されたが,今後の挿管管理への移行を踏まえ,他院へ搬送することとなった.職員は医師,看護師,臨床工学技士,車両係2名が搭乗し,当院救急車にて緊急走行で搬送した.NHFは酸素のみで使用可能なマックスベンチュリー(イノメディックス)を使用し,加温加湿器MR850,420L酸素ボンベ7本,ピン方式の減圧弁3個,スパナを持参した.NHFはストレッチャーの点滴スタンドに固定,加温加湿器は看護師が保持した.酸素ボンベはスタンドへ搭載し,臨床工学技士が適宜交換した.生体情報モニタはA&DのTM-2590を使用し、SPO2をモニタした。患者にはカニューラの上からサージカルマスクを着用させ,職員はN95マスク,ゴーグル,手袋,ガウン,サージカルキャップを着用した.当院の病室から転院先の病室まで約50分で無事に搬送することができた.酸素ボンベは計3本使用した.

【考察】マックスベンチュリーを使用することで,NHF装着患者を無事に転院させることが出来たが,高濃度酸素が必要な患者であれば,多量の酸素ボンベを準備する必要があるため,ボンベの準備や救急車内での設置場所に課題があると考える.また,加温加湿器を固定せず,看護師に保持させていたため,固定の方法を検討する必要があると考える.今回の転院では患者は安定しており無事に搬送できたが,万一急変したときの対応もシミュレーションしておくべきと考える.
【結語】NHF装着患者を無事に転院搬送することができたが,酸素ボンベの準備や,器具の固定,急変時の対応などに課題が残った.