[10-02] コロナ禍における当院のECPRの現状
コロナ禍における当院のECPRの現状
社会医療法人岡本病院(財団)京都岡本記念病院 臨床工学科
〇秋山晃亮
奥村凌典、上村怜、川本将之、櫛引健太、畑中晃、髙田裕
背景
当院では全入院患者に対してPCR検査を施行している。救急症例でも例外なく実施しており、PCR判定に時間を有することが問題点であった。特に、院外心停止症例では時間的猶予がなく、体外循環を用いた侵襲的CPR(ECPR)の予後を左右する問題であった。この体制ではECPR導入までに時間を有し、通常医療体制時とは成績が異なると考え本研究を行った。
目的
通常医療体制時(2019年)とコロナ禍(2020年・2021年)における当院のECPR成績の評価と比較を行った。
方法
ECPR施行症例を、2019~2021年の年別・患者毎にデータを集計し分析を行った。ECPR後の生存率評価をKaplan-Meierの生存曲線を用いて評価した。ECPR離脱後の神経学的予後評価としてCerebral Performance Category(CPC)分類を基準に評価した。患者毎のCPC分類評価を年別に集計し、unpaired t検定を用いて解析した。CPC評価期間はECPR離脱日から10日、30日後に設定した。
結果
2019年と比べ2020年及び2021年の30日生存率は(2019年:60.8%、2020年:35.3%、2021年:50%)低値であった。2020年と2021年を比較すると生存率は向上していた。しかし、CPC分類においては、2020年と2021年では、p=0.42、95%信頼区間の平均値の差の範囲:-0.98<μ1-μ2<1.15で、有意差は見られなかった。
考察
新型コロナウィルス流行当初は、未曾有のウィルスであり災害レベルの対応を強いられていた。当院でも、医療体制維持の為、スクリーニング検査を行い、PCR検査の結果が出てからECPRの導入を行っていた。2020年半ばより、PCR検査技術の向上と緊急患者に対する対応方法が整備され、迅速な対応が可能となり、2021年の生存率が向上したと考えられる。コロナ禍での生存率は向上しているが、通常診療体制時に比べると神経学的予後が改善されていないのが問題点であると考えられる。
結語
コロナ禍における当院のECPR成績を評価した。通常診療体制時に比べると神経学的予後が改善されていないのが問題点であると考えられた。
社会医療法人岡本病院(財団)京都岡本記念病院 臨床工学科
〇秋山晃亮
奥村凌典、上村怜、川本将之、櫛引健太、畑中晃、髙田裕
背景
当院では全入院患者に対してPCR検査を施行している。救急症例でも例外なく実施しており、PCR判定に時間を有することが問題点であった。特に、院外心停止症例では時間的猶予がなく、体外循環を用いた侵襲的CPR(ECPR)の予後を左右する問題であった。この体制ではECPR導入までに時間を有し、通常医療体制時とは成績が異なると考え本研究を行った。
目的
通常医療体制時(2019年)とコロナ禍(2020年・2021年)における当院のECPR成績の評価と比較を行った。
方法
ECPR施行症例を、2019~2021年の年別・患者毎にデータを集計し分析を行った。ECPR後の生存率評価をKaplan-Meierの生存曲線を用いて評価した。ECPR離脱後の神経学的予後評価としてCerebral Performance Category(CPC)分類を基準に評価した。患者毎のCPC分類評価を年別に集計し、unpaired t検定を用いて解析した。CPC評価期間はECPR離脱日から10日、30日後に設定した。
結果
2019年と比べ2020年及び2021年の30日生存率は(2019年:60.8%、2020年:35.3%、2021年:50%)低値であった。2020年と2021年を比較すると生存率は向上していた。しかし、CPC分類においては、2020年と2021年では、p=0.42、95%信頼区間の平均値の差の範囲:-0.98<μ1-μ2<1.15で、有意差は見られなかった。
考察
新型コロナウィルス流行当初は、未曾有のウィルスであり災害レベルの対応を強いられていた。当院でも、医療体制維持の為、スクリーニング検査を行い、PCR検査の結果が出てからECPRの導入を行っていた。2020年半ばより、PCR検査技術の向上と緊急患者に対する対応方法が整備され、迅速な対応が可能となり、2021年の生存率が向上したと考えられる。コロナ禍での生存率は向上しているが、通常診療体制時に比べると神経学的予後が改善されていないのが問題点であると考えられる。
結語
コロナ禍における当院のECPR成績を評価した。通常診療体制時に比べると神経学的予後が改善されていないのが問題点であると考えられた。