The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

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循環器③

座長:長谷川 慎一(滋賀県立総合病院 臨床工学部)、木村 優友(奈良県総合医療センター 臨床工学技術部)

[08-01] 心房頻拍に対してCARTOⅢ(V7)のCoherent MapおよびRipple Mapが有用であった一例

*中出 海基1、山田 吉治1、信藤 直樹1、千原 直己1、岡田 優佳1、村中 駿介1、餅原 一輝1、窪田 史子1、平井 圭1、山本 桂1 (1. ベルランド総合病院 )

背景】カテーテルアブレーションにおける3D Mapping Systemは不整脈治療において有用であり、特に複雑回路を有した心房頻拍の回路同定には必須である。今回我々は、Ripple mapおよびCoherent Mapが有用であった症例を経験したので報告する。
【症例】69歳女性、心房頻拍(AT)と心房細動による動悸を認めたためアブレーション目的で入院となった。手術開始時よりCL240msの心房頻拍が持続していたためCARTOⅢ(V7)を使用し3D-mappingを行った。心房頻拍中のVoltage mapでは低電位領域(LVZ: low voltage zone:0.1-0.5mV)が、左房前壁に広範囲に広がっていた。従来のActivation mapを追加したところ、回路同定は困難であった。そのためCARTOⅢ(V7)に搭載されているRipple mapおよびCoherent Mapに変換したところ、左房前壁LVZと僧帽弁輪間を必須緩徐伝導路とする頻拍が同定された。Mitral flutterと左房前壁内で完結するlocalized reentryの区別がつかなかったためPPIを行ったところ、localized reentryであった。左房前壁LVZと僧帽弁輪間の焼灼を行ったところ頻拍が停止した。PVIおよびBox isolationを加えた後に誘発を行ったところ、AT2(230ms)が誘発された。こちらは通常型心房粗動であったため、CTIを行った。再度、誘発を行ったところAT3(230ms)が誘発された。Mapping中に頻拍は停止したが、Ripple mapおよびCoherent Mapから左房前壁LVZとroof line間を必須緩徐伝導路とする時計方向回りのMitral flutterであった。AT1で作成したlineをRSPV roof側まで延長しanterior lineを作成した。以後誘発を行うも再発を認めなかった。
【結語】従来のActivation mapでは、頻拍中の電位の質を評価することは不可能であった。そのため、極端な低電位領域が存在した際に、ノイズと低電位の区別がつかず回路同定が困難であった。テクノロジーの進歩により、CARTOⅢ(V7)のCoherent Map及びRipple mapでは電位の質および伝導速度をありのままに評価することができるようになった。2つの情報を従来のmapping法に加えることにより頻拍回路同定は容易になりつつある。本症例の経験および、3D-Mapping法に関して考察を加え報告する。