第27回近畿臨床工学会

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座長:小笹 真(第二富田クリニック 臨床工学科)、椋本 匡俊(第二大阪警察病院 医療技術部 臨床工学科)

[13-04] AI深層畳み込みオートエンコーダ特徴量による頭部MRA画像上脳動脈瘤検出法

*細田 和史1、根本 充貴1、牛房 和之2、山口 明乃2、永岡 隆2、木村 裕一2、林 直人3 (1. 近畿大学生物理工学部、2. 近畿大学大学院生物理工学研究科、3. 東京大学医学部付属病院22世紀医療センター)

【目的】 本研究では、人工知能(AI)を用いた頭部MRアンギオグラフィー(MRA)画像上の脳動脈瘤検出支援法を提案する。病変検出支援システムにおいて、画像の局所パターンを定量化した画像特徴量は病変と正常解剖構造を識別するための重要な指標であり、システム性能を大きく左右する。提案法では、AI深層学習ネットワークの1つである深層畳み込みオートエンコーダ(CAE)を用いて正常データから生成した画像特徴量を用いて脳動脈瘤パターンを認識する。

【手法】 動脈瘤は動脈に付随する微小なこぶ状構造のため、まずMRA画像から画素値の閾値処理等で血管領域を抽出する。次に、得られた血管領域の様々な位置から1辺15 mmサイズの3次元立方体領域 (3Dパッチ) を抽出する。以降、3Dパッチに脳動脈瘤が含まれるかAI識別を行う。3Dパッチへの前処理として、医師の画像診断を模した4種の2.5D画像変換を施し、画像情報を圧縮する。次に、CAE を用いて4種の2.5Dパッチから画像特徴量を抽出する。特徴量抽出の際に用いるCAEには、脳動脈瘤を含まないMRA画像435症例から抽出した正常な血管領域2.5Dパッチを用いて事前学習させてある。最後に、CAEから抽出した特徴量を用いてAdaBoosted識別器アンサンブルによる識別処理を行い、脳動脈瘤に相当するパッチのみ検出する。

【結果】 脳動脈瘤を含む頭部MRA画像450例を用いた3-fold交差検証による脳動脈瘤検出実験を行った結果、ROC曲線の下面積は平均0.985、1症例当たりの誤検出パッチ数5個のときの病変検出感度は平均87.7 %であった。
【結語】 実験の結果から、提案法が臨床的な有用性を持つことを確認した。