第27回近畿臨床工学会

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手術室②

座長:村田 佑介(医仁会武田総合病院 臨床工学科)、定 亮志(大阪市立大学医学部附属病院)

[14-05] 四肢神経障害性疼痛患者に対する脊髄刺激療法(SCS)装置埋込後の疼痛緩和について

*藤野 公輔1、井上 貴仁1、溝口 裕隆1、久川 智史1、玉元 大輔1、半田 浩志1、杦本 保1 (1. 大阪暁明館病院 臨床工学科)

脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation:以下SCS)は神経障害性疼痛への緩和を目的とした治療法である.当院ではSCS装置埋込による治療が導入された.今回,脳神経外科の医師より要請があり臨床工学技士が介入する事となった.導入から外来フォローまで経験した1例を報告する.

73歳 男性 頸椎損傷による四肢神経性疼痛,巧緻運動障害や歩行障害が生じ,SCS装置埋込に至る.

SCS装置埋込後,入院中の2カ月及び退院後3カ月外来時,プログラマーを用いて刺激位置や刺激強度等の調整を行った.又,術後の日常生活でADLを考慮し,体位変化時の刺激強度の自動切換を行うAdaptiveStim機能を活用し,日常生活の行動パターンに合わせたプログラムの設定を行った.

SCS装置埋込当初は,リードの固定が安定していない事もあり,電極の刺激位置調整が困難であったが,1週間程度で右上肢へ安定した刺激を感じるようになった.しかし,リードの脱落により,刺激が到達しなくなった.リードの再挿入を実施し,右上肢同様に左上肢への刺激を試みたが疼痛の緩和は見られなかった.右上肢のみの疼痛緩和となったが,手術前と比べ疼痛症状は改善した.

SCS埋込当初のリード脱落により再挿入となった原因は,術後の入院生活やリハビリ時の体動によるものであると考える.医師,看護師等との情報共有や連携が重要であり,今後のSCS埋込後の疼痛管理を行う上での課題となる.又,プログラムの調整を行うにあたって,臨床工学技士間での対応が標準化できていない.そのため,痛みの強度を可視化できるスケールを作成し,入院中や外来時のプログラムの調整に活用していきたいと考える.

今後,臨床工学技士がSCSに介入する事でトラブル対応からプログラム調整を安全且つ円滑に実施できるよう努める.