The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

Presentation information

一般演題

オンデマンド配信(一般演題) » 血液浄化

血液浄化③

[15-05] ボタンホール穿刺が困難になる要因について

*北野 貴大1、岡本 寛志1、武下 悠1、佐伯 結莉愛1、小田 安弥莉1、木村 優花1、西岡 克章2 (1. 社会医療法人岡本病院(財団) 京都岡本記念病院 臨床工学科、2. 社会医療法人岡本病院(財団) 京都岡本記念病院 腎臓内科)

目的

 穿刺が容易とされているボタンホール(以下BH)穿刺だが、実際には穿刺が困難な例が存在する。そこでBH穿刺が困難となる要因を検討した。

方法

 BHは同一スタッフが同一箇所に通常穿刺針(メディキット:ハッピーキャスV)で繰り返し穿刺することによって作成した。BH完成後はペインレスニードル(メディキット:クランプキャスP)をもちいて穿刺した。

 当院でBH穿刺をされている患者18名のBH26箇所をスタッフによるアンケートをもとに、穿刺容易群(16箇所)と穿刺困難群(10箇所)に分類し、各々の群で血管径、BH作成場所、血管の深さ、BH穿刺実施期間について検討した。

結果

 血管径は穿刺容易群で6.9±2.8mm、穿刺困難群で10.4±1.7mmであり、後者で有意に大きかった。BH作成場所は、穿刺容易群では16箇所のうち上腕8箇所、肘4箇所、前腕4箇所であった。穿刺困難群では10箇所のうち肘1箇所、前腕9箇所であった。血管の深さは、穿刺容易群で3.6±1.4mm、穿刺困難群で4.2±1.3mmであり、両群に差はなかった。BH穿刺実施期間は、穿刺容易群で23±10か月、穿刺困難群で16±13か月であり、両群に差はなかった。

考察

 大きい血管径、前腕のBHが、BH穿刺困難の要因と考えられた。

 血管径が大きいほどBH穿刺が困難となりやすい理由は、血管に弾力がありペインレスニードルが穿刺孔をとらえても血管内に入りきらず、血管にはじかれてしまうトランポリン現象が起きやすいためではないかと考えられた。

 前腕のBHは、吻合部に近いため血管径が大きくなりやすいことや、穿刺時に回内したり回外したりすることで、血管と皮膚の穿刺孔の位置がズレてしまうことが、穿刺困難の要因ではないかと考えられた。

 今までBHを作成する際は元々穿刺していた箇所と同じような所を選択していたが、今後はエコーを使用して、なるべく血管径が細い箇所に作成するようにしたいと考えている。

 また、腕の向きも回内させるか回外させるかを統一して作成するようにしたい。