The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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公開会議

日本臨床工学技士会近畿地区災害情報コーディネーター会議

Sun. Oct 9, 2022 10:40 AM - 12:10 PM 第1会場 (Zoom)

座長:堀井 亮(済生会滋賀県病院)

[OM-3] 奈良県における透析医療の災害時に向けた医療連携体制の取り組み

一般社団法人奈良県臨床工学技士会

*小西 康司1 (1. 奈良県立医科大学附属病院 医療技術センター)

 災害時には各施設における透析災害対策と近隣施設や県を主体とした地域連携のシステム、さらに近隣県での連携が必要となる。今回、奈良県での透析医療の災害対策一つとしての連絡システムの訓練と現状の取り組みについて報告する。
 奈良県においては県庁の地域連携課と災害拠点病院の3施設を中心とした災害時連絡システムを構築している。また、奈良県では奈良県医師会と53施設が透析医療の施設として登録されており、登録者として施設責任者、実務者、連絡責任者①(医師)、連絡責任者②(メディカルスタッフ)がリスト化されている。また、奈良県は災害発生頻度の高い南東部地区と発生頻度の低い北西部に別れる。透析患者の実態把握をするため、県と協力しながら、災害発生頻度の比較的高い南東部の市町村役所に訪問し、災害対策と透析患者把握の現状を調査し、災害時の情報収集訓練を実施した。
 奈良県の災害時透析対応の現状として、奈良県立医科大学附属病院の医師1名が透析医療コーディネーターとして委嘱されている。役割としては災害時の透析施設の被災状況、稼働状況など県内の人工透析患者の状況把握や搬送及び受け入れ医療機関確保のための助言や調整がある。しかし、体制においてコーディネーターの不足や基幹病院・透析医療施設・県庁本部や地域保健所間での医療施設被災状況などの情報集約方法と退院調整の情報共有が課題となる。
 今後の課題としては体制強化のため、透析災害医療コーディネーターの適正人員確保と適正配置が必要となり、災害時に災害拠点病院と地域保健医療調整本部(地域保健所)と連携し、被災状況の把握と受診・退院調整に努める必要がある。また、情報共有手段の構築として災害時に必要な情報の統一化とEMIS(Emergency Medical Information System)を活用した情報共有手段の確立が重要である。
 現在、令和4年度の近畿地方DMATブロック訓練(奈良県担当)に合わせ、周産期災害医療体制とともに透析災害訓練を共同し、透析医療の災害時の情報集約をDMAT情報集約との連携に取り組んでいる。