グリーンアジアのためのエネルギーおよび資源確保の戦略

[A1-2] 褐炭・バイオマス利用：技術開発と実装への戦略

^○林潤一郎 (九州大学先導物質化学研究所)

司会:平島剛(九州大学工学研究院)

褐炭は，高含水率（低発熱量），高着火性（乾燥後），高揮発性アルカリ金属の含有などの，転換利用において好ましくない物性（負物性）の故に低品位炭素資源と認識され，大規模利用が進展していない。バイオマスも将来の大規模利用が期待されるが，褐炭と同様の負物性を有する。一方，これらの資源には，ユニークな化学組成等に由来する優れた物性（正物性）も見いだされる。従来の褐炭，バイオマスの改質（前処理）は，もっぱら負物性の減退，消去を目的とするものであったが，最近では，正物性を最大限活用した改質，転換法の提案，さらには，改質によって正物性を強化あるいは新たに賦与する方法も提案されている。本講演では，乾燥をはじめとするオーソドックスな改質法の重要性を示すとともに，新規に提案された改質法，転換法を紹介する。従来法と新規提案法を組み合わせることによって低品位炭素資源の付加価値が連鎖的に発生するプロセスチェーン・シーケンス・ネットワークの可能性とこれらを実現するための戦略を議論する。