最近の岩盤工学および鉱山開発に関するトピック

[A4-4] 淡水環境下における岩質材料のき裂閉塞挙動

^○福田大祐¹, 丸山恵¹, 奈良禎太², 金子勝比古³, 小川秀夫⁴ (1.北海道大学, 2.鳥取大学, 3.幌延ライズ, 4.太平洋コンサルタント)

司会:木下尚樹(愛媛大学)

Keywords:高強度高緻密コンクリート, き裂閉塞, 淡水, SEM/EDX, マイクロフォーカスX線CT

使用済み核燃料の再処理施設等から発生するTRU廃棄物のうち¹⁴Cを含む廃棄物の長期閉じこめ型の容器の材料として，高強度高緻密コンクリート(High Strength and Ultra Low Permeability Concrete, 以下HSULPC)が提案されている．HSULPCには高い遮蔽性が必要となることから，透水性，き裂進展，さらにはき裂閉塞についての研究が行われている．き裂閉塞に関する研究としては，主に海水環境下におけるき裂の閉塞プロセスおよび充填物の同定に関する研究結果が報告されているが，淡水環境下におけるき裂の閉塞に関する研究結果，特に析出物の同定結果に関しては報告されていない．
本稿では，巨視き裂を含むHSULPC供試体を淡水に浸漬し，マイクロフォーカスX線CTを用いてその閉塞挙動を観察した結果を紹介するとともに，SEM-EDXを用いた供試体表面における析出物の形状観察結果および元素分析結果について報告する．具体的には，海水だけでなく，淡水環境においても，き裂の閉塞が主としてCaCO₃の析出によるものであること，水質によってはその結晶構造が異なり，海水および地下水環境下ではそれぞれアラゴナイトおよびカルサイトが析出すること，などを述べる．