湿式素材プロセス

[B5-3] 高次アニオン錯体を用いた陰イオン交換法による廃液晶パネルからの有用金属の分離・回収技術開発

^○矢部勇樹¹, 佐野恭平¹, 新井剛² (1.芝浦工業大学 大学院 理工学研究科 材料工学専攻, 2.芝浦工業大学 工学部 材料工学科)

司会:小山和也(千葉工大)

キーワード：陰イオン交換,廃液晶パネル,アニオン錯体

近年、液晶パネルにはインジウム、ガリウム、亜鉛から構成される透明酸化物半導体が用いられ、その高機能性から今後も市場の拡大が見込まれている。これらの金属元素は、金属現有埋蔵量を超える使用量が予測され、国内での回収・備蓄法の構築が急務となっている。現在、湿式法による金属回収法としては溶媒抽出法が主流であるが、大量の有機溶媒を使用するため環境負荷が大きい等の問題点を有する。そこで、本研究では低環境負荷、且つ多種金属元素の相互分離に適しているイオン交換クロマトグラフィー法に着目した。本研究では、元素間相互分離の観点から、金属イオンの錯形成挙動に刮目し、亜硝酸イオンと金属イオンのアニオン錯形成反応を伴う陰イオン交換反応系を用いて、In(III), Ga(III), Zn(II)及びその他の有用金属元素の分離・回収の検討を行った。その結果、亜硝酸塩を添加した硝酸水溶液下におけるカラム分離試験により、In(III), Ga(III), Zn(II)の相互分離が可能であることが明らかとなった。本会では、官能基の異なる二種類の陰イオン交換体を用いて、多元素系からの分離・回収を行ったので報告する。