リサイクリング

[PY-17] シリコン切削屑を利用した無電解置換析出による貴金属の回収

^○福田健二¹, 福室直樹¹, 阪本進^1,2, 八重真治¹ (1.兵庫県立大学, 2.日本オイコス株式会社)

Keywords:貴金属回収, 湿式法, セメンテーション, フッ化水素酸

貴金属は、希少で高価なうえ工業的にも有用な材料であるため、その廃棄物や廃液からの回収が重要である。我々は、貴金属塩水溶液にシリコン粉末とフッ化水素酸を加えることで、シリコン上で金属イオンが還元されて金属が析出すると同時に溶液中のフッ化物イオンによるシリコンの溶解が起こる置換反応を利用して、貴金属を回収することに成功した。回収後の溶液中の貴金属残留濃度は1 mg・dm^-3よりも低かった。さらに、得られた粉末のシリコンを溶解することで貴金属だけを回収できることを確認した。貴金属の回収速度は、シリコン粉末の比表面積やフッ化水素酸濃度の増大および液温の上昇とともに高くなった。金、白金、パラジウムの貴金属と銅やニッケル、鉄などの卑な金属の塩の混合溶液を用いると、金、白金、パラジウムと銅のみが回収され、その他は溶液中に残留することがわかった。 本方法は、半導体産業の廃棄物であるシリコンの切削屑や使用済みのフッ化水素酸を利用可能であり、これらを貴金属溶液に加えるだけで貴金属全てを回収できる。