環境

[PY-43] 寒冷地域におけるヒ素超蓄積植物モエジマシダによるファイトレメディエーションとシダ内ヒ素挙動の検討

^○菅原一輝¹, 黄毅², 阿部康太², 遠藤銀朗², 井上千弘¹ (1.東北大学大学院環境科学研究科, 2.東北学院大学工学部)

Keywords:ヒ素, モエジマシダ, ファイトレメディエーション

植物を用いた環境浄化手法であるファイトレメディエーションは低コスト・低環境負荷という他に無いメリットがあり、低濃度・広範囲の汚染に対して実用化が 期待されている。その一方で実汚染環境下における試験例は少なく、広く実用化に至るまでには環境からの重金属吸収挙動などの知見を積み重ねる必要がある。 本研究は、ヒ素超蓄積植物モエジマシダを東北地方のヒ素含有土壌に対して施用し、自然環境下における圃場試験及び圃場試験中に観察されたシダ内のヒ素輸送 について詳細な検討を行った。
仙台市内の圃場で6ヶ月間モエジマシダの栽培を行った結果、試験圃場中のヒ素水溶出量は実験開始前の環境基準値付近(10μg/L)から有意に減少した。 また、モエジマシダ中のヒ素濃度は実験開始直後から全部位でほぼ一定に保たれていたが、秋口から根茎部で顕著な濃度上昇が確認された。この根茎部でのヒ素濃度 の上昇について、温度が原因で起きた現象かどうか検討を行った結果、根茎部から発生する新生羽片でヒ素の高濃度の蓄積が確認された。謝辞：本研究は三井物産環境基金及び日本学術振興会特別研究員奨励費の助成により実施された。