鉱物処理

[PY-51] 硫酸溶液中での黄銅鉱の酸化浸出における不動態化についての基礎的研究

^○水野耕作, 不破章雄 (早稲田大学 創造理工学研究科 地球環境資源理工学専攻)

Keywords:黄銅鉱

黄銅鉱は銅鉱石の中でも重要な鉱物である。しかしその浸出の難しさから現在湿式製錬は行われていない。しかし湿式製錬にはSOxガスを発生させない、低品位鉱にも適用できるといったメリットがあるため、これからの資源獲得競争や、環境負荷の低減が求められる社会にとって黄銅鉱の湿式製錬法の開発は有益であると言える。黄銅鉱の浸出が困難な理由として挙げられるものが、浸出途中に鉱石表面に生成される不動態である。この不動態に関してはこれまでに多くの研究が行われ、黄銅鉱から銅、鉄が少し抜けた状態での浸出物(Cu_1-xFe_1-yS₂：metal deficient sulfide)や、銅の硫化物(CuSn: Copper poly sulfide)など様々な説が言われてきたが、統一的な見解はいまだに言われていないのが現状である。そこで本研究では、黄銅鉱の浸出を時間ごとに区切りXPSによる表面分析を行うことで、表面反応を解明し、浸出を停滞させる原因となっている物質を特定することを目的としている。浸出は、1M硫酸溶液中で行い、酸化剤としてFe³⁺を用いた。また温度は70℃、浸出時間は最大を24時間としている。