亜鉛・鉛電解製錬の現状と課題および将来展望

[1111] Effect of antimony and chloride ions and on the deposition behavior and crystal texture of zinc from electrowinning solution

^〇中野博昭¹, 大上悟¹ (1.九州大学)

司会: 丹野 文夫 (三井金属)

Keywords:亜鉛, 電解採取, ゼラチン, アンチモン, 塩化物イオン, 電流効率, 分極, 配向性

Znの電析挙動と結晶組織に及ぼすゼラチンとSbの相乗効果およびCl^-の影響を明らかにするために，Zn電析の部分分極曲線および電析Znの結晶組織，結晶配向性を調査した。ゼラチンはZn電析，H₂発生を抑制するのに対して，SbはZn電析，H₂発生を促進させた。Sbが50 μg/L存在すると，200 A/m²以下の低電流密度域で電流効率は大きく低下したがゼラチンを添加するとSbによる電流効率の低下が大幅に緩和された。ゼラチンとSbが共存した溶液からの電析Znは，ゼラチン1 mg/Lでは主に<110>配向の繊維状の結晶組織となるのに対して，ゼラチン濃度を10  mg/Lと高くした場合，無配向分散状の非常に微細な結晶組織となった。一方，Cl^-を添加するとZn電析の部分分極曲線は復極し，また分極抵抗が減少した。復極および分極抵抗減少の程度は，Cl^-濃度が600 mg/Lから6000 mg/Lへと増加するとより顕著になった。水素発生の部分分極曲線は，Cl^-を共存させてもほとんど変化しなかった。その結果，初期のZn電析では，Cl^-の共存により3～10 ％電流効率が上昇した。